3月4日、流通大手のイオン株式会社は、J.フロント リテイリング株式会社が保有する株式会社ピーコックストアの全株式を取得し、完全子会社とすることを発表した。
債務を含めた買収価格は約300億円。株式譲渡は4月1日に行われ、J.フロント リテイリング傘下の「ピーコックストア」は同日からイオングループの一員となる。
今回の買収は、双方の思惑が一致した結果の経営判断だった。ピーコックストアは首都圏、中京圏、近畿圏を中心に88店舗を展開しているが、業態の主体は「大丸ピーコック」などの都市型高級スーパー。輸入食品などの品揃えでは定評があったが、近隣スーパーの低価格路線やコンビニの食品スーパー化などが影響し、ここ数年は苦戦が続いていた。2012年2月期の売上高は1126億円ながら、前期比で4.9%の減。2年連続で最終赤字を計上した。J.フロント リテイリングは今回の株式譲渡により、主軸である百貨店事業の強化を図る。
一方のイオンは、2011年度から推進している中期経営計画で、今後も人口増加が見込める都市部への「大都市シフト」を展開中。これまで手薄だった3大都市圏を重点エリアと位置付け、傘下にある小型食品スーパー「まいばすけっと」の出店を強化している。ここにピーコックストアが加わることで、イオンの都市型スーパーは一挙に600店舗近くにまで増えることになる。今後のピーコックストアの業態は未発表だが、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」商品をメインにした低価格路線にシフトすることは明らかだ。
ここ数年、スーパーマーケット業界は郊外の大型店舗から都市の小型店舗への移行が加速している。背景にあるのは、都市への人口回帰と郊外型店舗の飽和状況。郊外の開発はほぼ終わり、人口が増え続ける都市へと目が向けられているのだ。実際、高齢化に合わせてコンビニが小型の食品スーパーへと変わりつつあるように、都市型店舗の業態転換は急速に進んでいる。そんな中で一部の高級スーパーは安定した顧客を掴んでいるが、ピーコックストアは立ち位置がやや不鮮明だった。今回の買収劇は、変貌する都市型スーパーの現況を示した典型例と言えるだろう。
債務を含めた買収価格は約300億円。株式譲渡は4月1日に行われ、J.フロント リテイリング傘下の「ピーコックストア」は同日からイオングループの一員となる。
今回の買収は、双方の思惑が一致した結果の経営判断だった。ピーコックストアは首都圏、中京圏、近畿圏を中心に88店舗を展開しているが、業態の主体は「大丸ピーコック」などの都市型高級スーパー。輸入食品などの品揃えでは定評があったが、近隣スーパーの低価格路線やコンビニの食品スーパー化などが影響し、ここ数年は苦戦が続いていた。2012年2月期の売上高は1126億円ながら、前期比で4.9%の減。2年連続で最終赤字を計上した。J.フロント リテイリングは今回の株式譲渡により、主軸である百貨店事業の強化を図る。
一方のイオンは、2011年度から推進している中期経営計画で、今後も人口増加が見込める都市部への「大都市シフト」を展開中。これまで手薄だった3大都市圏を重点エリアと位置付け、傘下にある小型食品スーパー「まいばすけっと」の出店を強化している。ここにピーコックストアが加わることで、イオンの都市型スーパーは一挙に600店舗近くにまで増えることになる。今後のピーコックストアの業態は未発表だが、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」商品をメインにした低価格路線にシフトすることは明らかだ。
ここ数年、スーパーマーケット業界は郊外の大型店舗から都市の小型店舗への移行が加速している。背景にあるのは、都市への人口回帰と郊外型店舗の飽和状況。郊外の開発はほぼ終わり、人口が増え続ける都市へと目が向けられているのだ。実際、高齢化に合わせてコンビニが小型の食品スーパーへと変わりつつあるように、都市型店舗の業態転換は急速に進んでいる。そんな中で一部の高級スーパーは安定した顧客を掴んでいるが、ピーコックストアは立ち位置がやや不鮮明だった。今回の買収劇は、変貌する都市型スーパーの現況を示した典型例と言えるだろう。