工事用の三角コーンが置かれたステージに、男性ボディビルダーがポージングするなかをファーストルックのボンディング素材のドレスをまとったモデルが登場。この数シーズン、インスタレーション形式での発表が続いていたシアタープロダクツ(THEATERE PRODUCTS)が3年ぶりのランウェイを10月23日、東京の青山スパイラルホールで行った。
強い女性、男性に負けずパワフルに仕事をこなす健康的でタフな女性像を「CONTAINER」というテーマで表現した2016春夏コレクションは、ホームセンターから着想されたDIY的ディテールがさまざまなアイテムに現れる。オープニングの衝撃吸収用のボンディング素材を始め、梱包用のテープで刺繍されたニット、工具モチーフのエンブロイダリーのドレス、フルーツカバーをイメージさせるニット、ボルト型ボタンのジャケット、ブーメラン(パンツ)型のクラッチバッグ、テントや日よけ素材のトートバッグ、モデルの足に貼られた絆創膏のブランドロゴと、まさに“シアター”を思わす楽しいコレクション。
「女性の内面の強さとの対比で、強さを象徴するマッスルからボディビルダーという演出をとった。物量にあふれた80年代の“ザ・アメリカ”をモチーフにしたくて、シアトルのホームセンターにインスピレーションソースを求めた。“ジェンダーレス”というのではなく、男性と洋服のことについて話せる材料として工具のディテールなどの曲線や、ワークウェアの機能を洋服のデザインに落とし込んだ」とデザイナーの森田美和。
デビューから15年を経過。これまで30を超えるストーリーを紡ぎながら、アメリカをテーマにしたことはなかったという同ブランドが、新しいフェーズを迎えたシーズンとなった。
Text:野田達哉