年2回のピッティウオモ出展とメルセデスベンツファッションウィーク東京(MBFWT)のランウェイでコレクションを発表する「パッチーケークイーター(Patchy Cake Eater)」。2016春夏コレクションは会場中央に2台のビリヤード台が置かれ、モデルがプールバーでゲームを楽しむスタイルそのままでショーが進行。
バイカラーのTシャツ、ギンガムチェックとストライプをチェストで切り替えた半袖シャツ、礼装用のスターチドブザムになった比翼仕立ての半袖シャツにはボウタイでショートパンツにエナメルのモンクストラップ、MA1、スタジャンもショートパンツでミニマムに、水玉と無地をウエストで切り替えたジャケットにはボーダーTでテディボーイ風の着こなしと、異素材、対極の組み合わせのスタイリングが並ぶ。
ジャケットはこれまでのタイトシルエットから、ややゆったりめのボックスシルエットに変化し、メンズファッションの今の気分を的確にスタイルに昇華し、節操なくミックスするのは同ブランドならではの洒脱さ。素材、縫製、ディテールのこだわりなどもピッティで鍛えられたクオリティを感じさせる。
シーズン毎にショーの見せ方が大きく変わるため、そのテーマにとらわれ過ぎてイメージをつかみ取るのが難しいブランドながら、シーズンを重ねるにつれて、ラグジュアリーを志向するアジアンメンズの潮流のリアルなシーンを支えていることは確かだ。
ピッティウオモでの2016春夏コレクションの展示が6月、それから約4ヶ月遅れの東京でのランウェイというタイムラグが、グローバルなビジネスから見ればネックながら、「生まれ育ったホームグランドの東京で見せるのは、MBFWTのステージが自分の場所だと思っているから」とデザイナーの森野重紀。
Text:野田達哉