「ナチュラルな方が好き?ここは3mmでOKだよね?と、結構細かくリクエストを聞いてくるので、少し驚いた。もっと勝手にヘアスタイルを決められるのかな、と思っていたので。日本でカットするより会話したかも」と話すのは、日本で最初にブラインド・バーバー(BLIND BARBER)でヘアカットしたエディターの矢代真也さん。
2010年にニューヨークで誕生したブラインド・バーバーのポップアップ店舗が11月6日、神宮前のトッド スナイダー・タウンハウス(TODD SNYDER TOWNHOWSE)に1日だけオープンした。
バーとカフェに併合された床屋、というコンセプトが人気を呼び、同様のカフェ&バーバーの複合ショップはニューヨークのメンズヘアサロンの新しい潮流になりつつある。同店は現在、NYのイーストビレッジとブルックリン、LAの3店舗を展開。日本では今夏より「ブラインド バーバー」ブランドのグルーミングプロダクトの販売が開始されているが、リアルな“バーバー”は初上陸。NYで最も予約が取りにくい理髪師と言われるイーストビレッジ店のロブ・マクミレンも来日し、東京では限定5名でヘアカットを行った。
「5年前に僕たちがこのスタイルで始めたのは、その頃、男が髪を切る場所がなかったからなんだ。日本も同じだと聞いたけれど、当時はクラシックな“バーバー”もしくは、ヘアサロンの椅子に女性たちと一緒に並んで座るしかなかった。そこで僕たちはクラシックなクラブハウスのようなところで髪を切ることを考えたんだ。僕の祖父が若い頃に行っていたようなクラブ。別に特別な用事がないときでもそこに行って、ビールを飲みながらTVでスポーツを見たり、新聞を読んだり、仲間とトランプしたりというような場所」と話すのは、ブラインド・バーバーのジェフ・ロウCEO。実際に米国の店舗では、オリジナルカクテルからサンドイッチまでフードも充実しており、ヘアカットは日本円で4,500円程度と手頃。
東京は初来日だと言うジェフCEO。トッド スナイダーの店舗は「我々にピッタリな空間だった」と興奮気味に話す。2階のバー&カフェスペースでは、ブルックリンラガービールとクラブハウスサンドイッチ、ご近所からグッドタウンドーナツも用意された。同ブランドのプロダクツやTシャツなども販売され、NYの店舗さながら。「4店舗めは東京に出店したい」(同)とご機嫌に話すのも冗談ではなさそうだ。
Text:野田達哉