アーティスティック・ディレクターにヴェトモン(Vetements)のデザイナー、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が就任して初となるバレンシアガ(BALENCIAGA)16-17AWウィメンズコレクション。ショーはパリ15区に位置する元テレビ局を会場に開催された。
デムナ・ヴァザリアは、アーカイブを丹念に閲覧してクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balanciaga)の作り出してきた独特のシルエットを研究。クチュールメゾンの技術をユーティリティーウェアに応用し、新しいカッティング術を編み出した。ハウンドトゥースやチェックなどのメンズファブリックを使用したテーラードのシリーズでは、ウエストラインを立体的に仕立て、肩を前に出すことで今までにないシルエットを描き、新鮮さを演出。ブルゾンやライダースなどのユーティリティーウェアは、上半分を閉じると裾が広がるシルエットになり、下半分を閉じると肩にボリュームが移動してデコルテになるという、2ウェイの着方を楽しむことができる。フローラルモチーフのドレスのスカート部分には、ボリュームあるラッフルを配して絶妙なアンバランスさを見せる。
最後に、ヴィンテージ風のコートをシリーズで登場させたが、レザー製のショッピングバッグをコーディネートし、バレンシアガのシリアスな局面にデムナ・ヴァザリアのユーモラスなエッセンスが見事に融合。コンセプト偏重になり過ぎない、絶妙なバランス感覚を携えた新生バレンシアガの誕生だ。