川久保玲によるコム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME des GARCONS HOMME PLUS)は、オペラ座に程近いイベントスペースを借り切って2016春夏コレクションのショーを行った。
テーラリングの価値を再認識するために、敢えて逆説的にそれを壊すという同メゾンらしい自由な発想に基づいたクリエーションを披露。美しく仕立てられたテーラリングのジャケットには、ハサミで袖に切り込みを入れ、ヘムをジグザグにカット。しかし、全てはバランスを計算してのことで、新鮮なシルエットは美しく目に映る。
インナーに合わせられているシャツ用のファブリックを用いたトレンチ風のシュミーズやブルゾン風のシュミーズなどは、挑発的なジャケットに反して優しい印象を与え、硬軟の対比を見せた。
今シーズン、一見して目に付くようなデザインは省き、シンプルなシルエットを目指すメゾンが多い中、パリコレクションらしいクリエーションを見せ、独自の方向性を堅持する貴重な存在となっていた。