パティ・スミスが、自伝『ジャスト・キッズ』と詩集『無垢の予兆』の発売を記念し来日した。2作品とも2012年12月21日より発売中。また、10年振りに全国各地で単独ライブツアーを実施する。東京や東日本大震災の被災地である仙台、パティ自身が強く関心を持っている広島など、全国各地で単独ライブツアーを実施。
今回のツアーでパティ・スミスは、幅広く全国を回る。「全体的にアプローチしたかったし、行ったことのない所に行ってみたかった。被災地の仙台は、メンバー全員が希望した。今回のツアーを通して、仙台の学校に寄付するなど自分達が出来ることをやりたい。また、広島や長崎については以前から強い関心を持っていた。私の父は、第二次世界大戦を経験した米兵で、当時広島・長崎に落とされた原爆についてとても心を痛めていた。幼かった私にもライフ誌を見せて説明してくれた。『自分の国がそんな事をするなんて』と、信じられない気持ちもあったが、いつか自分が日本に行って『ごめんなさい』と伝えに行くと父と約束した。今回の広島では、父の魂から私の魂を通して祈りを捧げたい」とコメント。
パティはファッションアイコンとしてアン ドゥムルメステールなどデザイナーズブランドのイメージソースとなってきた。当日の服装もアンのジャケットにデニムという出で立ち。彼らに影響を与え続けていることについてという質問が会場から上がると、「とても光栄。私もさまざまな存在に影響を受けているので、自分が他の方々に何か返せるということはとても嬉しい」と答えていた。
会見の最後にはバンド・メンバーのギタリスト、レニー・ケイが現れ、ライブ演奏というサプライズも。パティは、アルバム『ゴーン アゲイン(Gone Again)』から「ウイング(Wing)」、アルバム『ドリーム オブ ライフ(Dream Of Life)』から「ピープル ハヴ ザ パワー(People Have The Power)」の2曲を歌い上げた。
パティ・スミスは1946年アメリカ・シカゴ生まれ。1967年ニューヨークで写真家ロバート・メイプルソープと運命的な出会いを果たす。1971年詩人としてデビュー、1975年パティ・スミス・グループを結成しアルバム『ホーセズ(Hoses)』をリリース。現在に至るまでニューヨークパンクの先駆者として、多くのミュージシャンから尊敬される。『ジャスト・キッズ』で2010年度全米図書賞ノンフィクション部門受賞。