現在開催中の第55回ヴェネチア・ビエンナーレプレビュー週間に、パリのブランド「アガノヴィッチ(AGANOVICH)」が、ヴェネチアで活動するブランド「セテチェント(Setecento)」とコラボレーションし、8体のウィメンズカプセルコレクション「カメラ・オブスキュラ」を発表した。会場はバウワーホテル(Bauer Hotel)。
ヴェネチア芸術に古くから伝わる独特の明暗法(キアスクーロ)をアガノヴィッチ流に解釈した。ほのかに光を透かす、ヴェネチアの老舗生地メーカー「ルベリ」の職人が手掛けたファブリックを大胆に後染めし、構築的なパターンのドレスやジャケットに仕立てた。
ロンドンを拠点に活動するアーティスト、フリッツ・ストールバーグ(Fritz Stolberg)とコラボレーションしたインスタレーションは、鳥の鳴き声が響く真っ暗な部屋に数個のブラックボックスが設えられ、そのボックスの壁にある小窓から中を覗くとルックが現れる、という仕掛け。また、この真っ暗な部屋の回廊を壁伝いに歩いていくと、突き当たりの壁に突如として天地が反転したドレスの像が立ち現れるという演出も用意し、カメラ・オブスキュラ(光学装置、ラテン語では"暗い部屋”の意)の世界を表現している。
アガノヴィッチは、ユーゴスラビア出身のナナ・アガノヴィッチ(Nana Aganovich)とイギリス出身のブルック・テイラー(Brook Taylor)の2人が手掛けるブランド。2009年10月にパリでデビューコレクションを発表。今年、フランス国立モード芸術開発協会が主催する、新人デザイナー発掘のための「アンダム・ファッション・アワード(ANDAM Fashion Award)」ファーストコレクション賞にノミネートされた。