京都の粋人たちが選ぶ、相手先に一目置かれる手土産のシリーズ連載。第5回目は西洋アンティークや現代作家を提案する「昂 KYOTO」オーナー、永松仁美さん。オススメは京都らしい”おいなりさん”と巻物のお寿司。
ショップのレセプションやお知り合いの作家さんの個展、パーティなど、人の集まる場に出かける機会が多い永松仁美さん。「お花やスイーツ、ワインなどの手土産は多いと思い、私は他の方とかぶらないお寿司を選びます」。
骨董店「てっさい堂」の長女として生まれた、幼い頃から身につけた審美眼を生かし、2008年、古門前通に「tessaido annex 昂」をオープン。2012年、店名を改め、祇園町へ移転。
今回オススメの『中村屋』は1954年創業、助六寿司ひと筋の名店。南座の楽屋見舞いや踊りの稽古の差し入れに利用されることも多く、慌ただしい楽屋でも衣装を汚さないよう、シャリは小ぶりに。酢飯自体にしっかり味がついていて、海苔の風味も良く、醤油なしでもおいしくいただける。
「パーティや個展などはスタッフも大忙しでしょ。中村屋の助六はサッとつまむのにちょうどよく、ゲスト用だけでなく、スタッフ用に持っていくこともあります」。永松さんが助六寿司を紹介し、後日、買いに行く方も多いそう。「百万遍の脇道に立ち、店構えも昔ながらの町家で、店というより家のような佇まい。初めての方は必ず迷われますね。街中ではありませんし、前日までの予約も必要ですが、手軽になんでも買える今の時代だからこそ、その"わざわざ感"も気に入っています」。
写真は胡瓜巻きとしんこ巻き、いなり寿司の詰め合わせ、1人前880円。住所は京都市左京区田中大堰町145。電車なら京阪出町柳駅から徒歩約10分。京大や同志社の学生なども多く暮らす昔ながらの住宅街。営業時間は10時〜17時、不定休。前日までの要予約。