7月18日、「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の創業デザイナーである三宅一生が企画した、「青森大学男子新体操部」の公演が東京・国立代々木競技場第二体育館で行われた。
男子新体操は、バック転や宙返りなどの大技とスピード感ある動きで構成される演技の美しさや芸術性を競う、日本発祥のスポーツ。三宅は、全日本学生選手権11連覇(2012年時点)、全日本選手権で4年連続9度目の優勝という強豪・青森大学新体操部(男子)の演技をテレビの報道番組で目にして強く惹かれ、この企画を思いたったという。
演出・振り付けを担当したのは、来年のソチオリンピックのセレモニーを担当することが決まっており、「プリーツプリーズ」の香水ローンチダンスパフォーマンスなども手掛けた振り付け家のダニエル・エズラロウ。「新体操部の部員や青森の海やそこに住む生き物からインスパイアされた」と語る彼は、中田吉光ヘッドコーチが創作した演技に自身が振付けたパートを加え、「舞い上がる身体、飛翔する魂」をテーマに演出。会場舞台を大きな水のかたまりに見立て、部員達が大自然の驚異や海の生物の活き活きとした姿を表現した。
その他、モーショングラフィックスは中村勇吾、音楽はオープンリールアンサンブル(Open Reel Ensemble)、ミュージックスーパービジョンは畑中正人、ドキュメンタリーフィルムディレクションは中野裕之と、各界で活躍するクリエーターが参加した。
27人の部員は全員、三宅一生がデザインしたカラフルなプリーツのコスチュームを身にまとい、躍動感あふれる演技を約1時間に渡り次々と披露。リングやロープを使った個人技から、海に見たてた布の間からイルカのようなジャンプを見せる「イルカジャンプ」や、部員全員で行う演技にも初挑戦し、会場は終始拍手に包まれた。
中田氏はショー後、「三宅一生に会って、服への熱い思いを聞き、自分の体操に対する想いと相通じるものを感じた。男子新体操の認知度を高めたいと日々考えてきたので、ここまで大きな公園を開催していただいたことが本当に嬉しい」と語り、コスチュームの着心地について「すごく動きやすいし、型崩れもしない。三宅先生が何着も仮縫いしてくださったが、自ら針を刺す姿は、一着一着に魂を埋めつけるようだった」と話した。
コスチューム制作を担当したイッセイミヤケのメンズライン「オムプリッセイッセイミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」は今年秋にスタートを予定している。