JR東日本は、東京駅八重洲口「グランルーフ」の完成と、駅前広場整備についての詳細を発表した。共に昨年10月に完成した「丸の内駅舎保存・復元工事」に続く東京駅周辺整備計画の一環で、東京駅の未来を象徴する先進性や先端性を打ち出している点が大きな特徴。「グランルーフ」は9月20日、駅前広場は2014年秋の完成予定だ。
グランルーフの開発面積は約1万4,000平方メートル。長さ約230mの大屋根とペデストリアンデッキ、みどりの窓口(9月8日先行開業)、鉄道会館が運営する総面積約1,900平方メートルの店舗、高速バスのりば(使用開始済)等から構成される。八重洲口の新たなランドマークとなるペデストリアンデッキは、「光の帆」をデザインモチーフにした明るい大空間。「グラントウキョウノースタワー」の2階オフィスロビーと「グラントウキョウサウスタワー」(大丸東京店)の2階部分を直結し、利便性と回遊性の向上を図る。また、壁面緑化やドライミストの設置など、環境を重視した設計がなされている。
地下1階から3階には「ヤエスセンセーショナルシーン(Yaesu Sensational Scene)」をコンセプトにした15店舗の商業施設がオープン。フロアとごに「トラベルゾーン」「カルチャーゾーン」「ヘルスゾーン」等のテーマを設け、新たな人の流れと出会いの場を創り出す。
駅前広場の整備は、東京駅周辺の交通の円滑化、鉄道と二次交通とのスムーズな乗り換え、歩行者空間の拡充を目的としたもの。具体的には、交通結節機能の強化を図るため、交通広場の奥行きを約32から約45mに拡大。バス・タクシーを南側、一般車を北側に配置し、車両動線を明確に分離する。合わせて、タクシープールと一般車の乗降場も新たに整備する。
環境や歴史にも配慮が行き届いている。環境面ではシラカシを中心に約10種類、約80本の高木と低木を設置。大屋根に降った雨水や中水は灌水として再利用し、環境への負荷を軽減する。また、「グラントウキョウサウスタワー」の建設地から出土した江戸城外堀の石垣の一部を再活用。外堀通り沿いに、かつての東京駅の名残りを表現する。