可能性を広げるレイヤードとコンバイン【14-15AWトレンド2】

2014.05.02

来シーズンの“a la mode”は何か。14-15AWパリコレクションを振り返り、歴史的背景も踏まえ次にやってくるトレンドを読み解く。2回目は着こなしを拡張するレイヤードとコンバインだ。

20世紀はデザインの世紀と呼ばれるように、服の形状を始め革新的なデザインが次々に誕生し、創造性が優先される時代だった。ところが、1990年代に入ると創造的なデザインの服よりも、リアリティーを追求するリアルクローズの時代へ。2001年を迎える頃には、リミックスやコラボレーションから生まれるスタイル提案型の時代が始まり、素材の開発から生まれた機能性と豊かな表情を備えた服の組み合わせや、レイヤードの妙を楽むコーディネーションの時代となった。

ハイクオリティーと伝統的なクラフツマンシップを誇るラグジュアリーブランドは、昨今のデザイナー交代により革新の時を迎え、新任デザイナーはブランドに新しい価値観をもたらしている。

14-15AWのトレンドの一つともいえる、コンバイン(接合)は、90年代初期コム デ ギャルソンCOMME des GARCONS)やメゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)などの先鋭的なブランドによって生み出され、以後レイヤードの延長線上にあった。ラグジュアリーの洗礼を受けたレイヤードとコンバインに注目したい。

詳細は写真キャプションに付記。写真は順に
ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)
サカイ(sacai)
ディオール(Dior)
メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)
シャネル(CHANEL)
ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)
ケンゾー(KENZO)

次はフェイク&リアル素材。
Yuri Yokoi
  • ルイ・ヴィトン。ニコラ・ジェスキエール初コレクションのテーマは“タイムレス”。ルイ・ヴィトンが培ってきたタイムレスを進化させるかのように、高度なテクニックを要するコンバインを多用し、新たなタイムレスを作り上げた
  • サカイ。日本のお家芸的なコンバインだけに、サカイのコレクションではもはや定番技法。ニットメインの身頃にコットンをコンバイン。時代を象徴するモダニティーが冴えるわたる
  • ディオール。ムッシュ時代のシルエットを彷彿する外観にシンプルな現代風ドレスを組み合わせたレイヤード風ドレスはNow &Thenの面持ち。鮮やかな補色合わせはラグジュアリーの極み
  • メゾン マルタン マルジェラ。ブランドDNAには異素材組み合わせの遺伝子が組み込まれている。今シーズンのコンバインはウールとコットンを合わせた、ジェンダーレスなジャケット
  • シャネル。ウォーキングやショッピングに活躍するラメ入りニットのトップ&ボトムと、最新シャネルスーツのレイヤード。ミスマッチ感覚を遊び、トップモードにするのがシャネル流
  • ドリス ヴァン ノッテン。シルバーで大胆に手描きした百合を施したエレガントなチュールを、オプティカルプリントのTシャツの上にレイヤードするだけでドレス感が漂うセンシティブな着こなし
  • ケンゾー。パンツの上にスカートをはくレイヤードは、一部の着こなしの定番になっているが、ジャケットスーツの上にボリュームのあるソフトギャザーのスカートのレイヤードは秀逸
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