作家、医師のルイ=フェルディナン・セリーヌ(Louis-Ferdinand Celine)は1894年5月27日生まれ。フランス・パリ西郊のクールブヴォア出身。1961年7月1日逝去。
1912年、18歳で志願兵として入隊したが、翌年除隊した。22年、パリ大学医学部に編入し、24年に博士号を取得。32年に大戦にひしがれて無力と倦怠の中をさまよう主人公を描いた処女作『夜の果てへの旅』を出版し、一躍文壇の寵児となる。同作や“前期三部作”の『なしくずしの死』『戦争』『ギニョルズ・バンド』は、過激な内容や卑語・俗語を交えた破格の文体で話題を集めた。
デビュー当時は左翼作家とみなされていたが、第2次世界大戦の前後より『虫けらどもをひねりつぶせ』『死体派』『苦境』など、“反ユダヤ”的な評論や政治的パンフレットを書くようになる。そのため戦後に逮捕状が出され、44年デンマークへ亡命。翌年フランス政府の要求によりコペンハーゲンで拘禁され、50年には第二次大戦中の対独協力の罪で有罪判決を下された。
51年、第2次大戦中の軍功により特赦されて帰国。その後に執筆した、亡命していた時期の生活を虚実交えて描いた『城から城』『北』『リゴドン』の“後期三部作”は、敗北直前のドイツ国内事情を知る上でも興味深い作品となっている。61年、『リゴドン』の脱稿直後に脳卒中で倒れ、7月に死去。