伊勢丹新宿店では、現代の新しいテクノロジーを用いた芸術作品を紹介する作品展「近未来美術展 DOORS」を、2月17日から22日まで、同店本館7階催物場で開催している。
新技術が次々と開発され、社会に大きな変化をもたらしている昨今。同展では、デジタルやセンサーなどのテクノロジーを用いることで従来にない新しい作品を生み出しているアーティストらによる未来感溢れる作品が紹介される。
CGアーティストの高山穣は、独自開発のコンピューターアルゴリズムが整形する精微な造型を応用し、宝飾品のような表現を試みた作品「Orb」(税込5万4,000円)を紹介。会場では同氏が独自開発したというコンピューターアルゴリズムを用いたCG映像や、3Dプリンタによる造形作品が展示されている。
同氏の作品制作は、ある程度プログラムに任せており、プログラム自身が無限に様々なパターンを生成し続けることで大量の作品データが蓄積され、その中から最も美しいと思えるものを選別、構成したものを映像や静止画パネル等の形式で展示するという。
抽象的なものから具象的なもの、装飾的なものまで様々だが、全て自作プログラムによるものであり、市販のCGソフトウェアは使用していないそうだ。特にメタボールというアルゴリズムを独自に改良して用いており、メタボール自身が作り出す偶発的な造形を応用し、精緻なパターンの生成を行うという。
MATHRAXは、三角形のオリジナルLED基板に夜景の色彩データを取り込むことで様々な形や色を表現する「ひかりのミナモ〈星〉」(税込25万9,200円)を紹介。
大石雪野は自身の姿を撮影した約6時間分の映像を2分18秒に縮め、彫刻作品に投影した「Time continuity seen on her surface」(※展示のみ)を紹介している。
会場ではこのほか、小学生たちが描いた絵画をコンピューターでモザイク状に抽象化する田中和人による「Untitled Composition」(税込17万2,800円)をはじめ、数学の2変数関数を金属加工技術を用いて立体グラフ化したアートオブジェ「GAUSSIAN(ガウス関数)」(税込3万8,880円)、アクリルやオイル、LEDなどの素材を組み合わせ構造物の美しさを追求した川崎広平の「Untitled」(税込19万4,400円)などの作品を紹介している。
会期中の20日、午後2時から午後2時45分までは、デジタル復元師の小林泰三によるギャラリートーク「匠を救うデジタル科学」、21日、午後2時から午後2時45分までは、現代アートコレクターの宮津大輔をゲストに招き、出品アーティストによるギャラリートークも開催する。