前澤社長の言う「WEAR」の持つ機能とは大きく三つ。バーコードスキャン機能、コーディネート検索(コーディネートレシピ機能)とクローゼットの整理機能(マイクローゼット機能)だ。そしてそれをSNS機能でシェアすることができる。
コーディネートレシピ機能は、WEARが公式に選んだモデルや著名人などのファッションリーダーや、ショップスタッフ、一般ユーザーが投稿するコーディネートを検索できる。そのコーディネートには投稿者の属性や着用アイテム情報、さらに独自のタグ情報(パーティー、アウトドアなど)により、カラーやシチュエーションなどから、ユーザーが必要とするコーディネートが見つけられ、ブランド側は新作などをブランドスタッフが投稿することで、入荷情報などをコーディネートレシピ付きで提案できる。
「ファッションECはこれまで単品での訴求が中心だったが、WEARの普及でコーディネートでの販売が可能になる」と前澤社長。ゾゾタウンでもショップスタッフのコーディネートをランキングで検索する機能はあったが、特定の投稿者をフォローする機能はなかった。その機能をさらにサービスとして進化させたのがWEARであり、当面はマネタイズを考えず、利用者の拡大を目指す。
「ターゲットはスマートフォンを持っているすべての人。料理のレシピがクックパッドなら、ファッションの着こなしレシピはWEARがやるよ、っていうこと」(前澤社長)で、さらにこれも先人が成しえていないマイクローゼット機能を付加することで、膨大なアパレル商品のデータベース化を進めることが目的となる。バーコードさえ登録されていれば、すべての商品はデータベース化され、インターネット上に店舗があれば、誰でも無料でこのサービスは提供されるという。また、自分のワードローブを写真に撮って画像登録すれば、それはクローゼットに追加される。
apple社のサービスで例えるなら、ダウンロードで購入した曲だけではなく、以前買ったCDもライブラリーとして登録できるiTunesと同じ概念だ。ECで購入した洋服は簡単にクローゼットに登録され、リアル店舗で買った洋服も自分で撮影して登録でき、すべての小売店も自分の商品を登録できる。さらに投稿者はコーディネートを投稿して、フォロワーを増やす。iTunusのPing、Googleのboutiques.comはサービスが終了したが、WEARのSNSは普及するだろうか。いずれにせよ、その根幹にあるゾゾタウンで培ったアパレル商品に特化された膨大なデータベースが同社の圧倒的な強みであり、ユーザーにとって魅力となる。iTunesと違うのは、WEARでは商品自体は販売されないということだ。
「WEARは、ゾゾタウンや新しくスタートした新ECモールのLABOOの上の階層。数年でこの新しいサービスが、これまでのスタートトゥデイのビジネスを軽く超えていくことが我々のKPIで、海外への普及も視野に入っている」と話す前澤社長の“スタートトゥデイ”哲学に変化はない。
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