ラグジュアリーシューズブランド「ルイリーマン(LOUIS LEEMAN)」の日本初となるトランクショーが伊勢丹メンズ館で22日まで開催されている。イベントに合わせ来日したデザイナーのルイ・リーマン (Louis Leeman)とエリカ・ペロシーニ(Erica Pelosini)に話を聞いた。
今秋冬のテーマは「オリエンタル」。キャンバスやスエードなど、カジュアルなマテリアルにスワロフスキーといった高級な素材をミックスすることで、オリエンタルが表現されている。トランクショーでは今秋冬ものに加え、来春夏の3型が先行で登場。着物を着た女性や波を表現したデザインモチーフが施されるなど、オリエンタル色が今シーズン以上に強調されたコレクションが世界でどこよりも早く披露されている。
「ルイリーマン」は、有名なテーラーでスーツのデザイナーとして働いていたルイと、『ヴォーグ(VOGUE)』を始めとしたファッション誌を中心にスタイリストや編集者として活躍していたエリカが、ロンドンで出会い、3年前に設立。
「全く違う環境で培った二人の感性を生かせる新しい仕事を考えていた。ちょうどそのときにシューズでウィメンズはデザイン性が高いものが多いけれどメンズはバリエーションが少ないと感じた。ルイ自身も自分の履きたいシューズがないと考えていたので、それだったら自分たちで作ろうとブランドをスタートした」とエリカは設立の経緯を話す。
彼らの基本コンセプトは「クラシック×トラディショナル×エッジィ」。クラシックでありながら、ラグジュアリー、ヒップホップやロックなどの要素を融合したシューズは、デビューするや否やザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones)やジョニー・デップ(Johnny Depp)、ジェイ・ジー(Jay Z)といったミュージックシーンのセレブを顧客に持ち、トレンドを牽引するシューズブランドとして一気に注目された。
エリカが色や素材の組み合せなどアイデアを提案。ルイがシェイプ(形状)やマテリアル(素材)など専門知識が必要なテクニック的な部分を担う。そのルイが最も影響を受けたのが、60年代、テーラード界の奇才・異端児と称されたトミー・ナッター(Tommy Nutter)だ。ザ・ビートルズ(The Beatles)のアルバム「アビー・ロード(Abbey Road)」のジャケットで着用されたスーツも、トミー率いる「ナッターズ・オブ・サヴィル・ロウ(Nutters of Savile Row)」のもの。
「トミーは、カッティングテクニックはもちろんのこと、ロンドンのストリートやナイトクラブのカルチャーを取り入れながら、エキセントリックなデザインのスーツをいち早く提案していた。彼のデザインワークからは多くのインスピレーションを得ることができる」とルイはそのクリエーションのルーツについて語る。
シューズは全てイタリアの工房で製作されており、そのクオリティの高さも定評がある。「今の工房は、トム・フォード(Tom Ford)やバレンティノ(VALENTINO)、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)などの靴も手掛ける技術の高い工房だが、クラシックな靴が中心。僕らは、毎シーズン、コレクションをチェンジし、その都度、新しくアイテムやマテリアルを提案するのでインスピレーションが職人に伝わらないことも多々ある。何度も直接工房に出向き、職人とコミュニケーションを取りながら、ファッション性が高く、なおかつクオリティの高いコレクションの製作を目指している」とルイ。
「伊勢丹メンズは僕らのデビューコレクションから買い付けを行ってくれたリテーラー。だから、オファーがあった時はとてもエキサイティングな気持ちだった。元々、日本に興味を持っていたし、初めてのトランクショーが日本で実現できて非常に嬉しい」とルイ。今回のトランクショーでは、世界限定10足、シリアルナンバー入りの伊勢丹メンズ館10周年記念モデル(18万9,000円)も用意された。ゴールドのライオンが刺繍されたベルベットシューズは、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の刺繍も手掛ける工房で特別に製作。会場は、彼らが考える「JAPAN」をイメージし、黒を基調とした“和”の空間が演出されている。
日本のファッションについて尋ねると、「好きなブランドはトーガ(TOGA)とサカイ(sacai)。日本はメンズファッションのバリエーションが多く、いつも表情が違って見える。イタリアの男性のファッションはクラシックでいつも同じように見えて物足りないかな(笑)」とイタリア出身のエリカ。「日本は色々な国からファッションがインポートされ、世界で活躍する日本人デザイナーも多く、色々な“ミックス”が楽しめる国。うらやましいよ」とルイも笑顔で答えてくれた。