2012年の秋冬からデビューしたニューヨークのブランド「マイエット(MAIYET)」の創設者兼クリエーティブディレクター、クリスティ・ケイラー(Kristy Caylor)が来日したのに合わせ、同ブランドを国内で唯一取り扱うバーニーズニューヨーク(新宿店)にて話を聞いた。
マイエットは、“新世代のラグジュアリーブランド”を目指してクリスティが創設。インド、インドネシア、ペルー、コロンビア、ケニア、ガテマラ、イタリアなど、世界各地の伝統工芸的な技術を持つ職人にフェアな対価を支払って洋服を生産するエシカルなブランドでもある。刺繍や縫製、テキスタイルなど、各国の伝統技術をモードラグジュアリーなファッションへと落とし込まれている。フルライン制作しており、ウエア(カットソー、ジャケット、ドレスなど)は5万から36万円代、バッグ13万から22万円代、アクセサリー8万から11万円代、シューズ7万から10万円代。
ブランドが提案するエシカルなスタンスにこだわる理由ついて「私が考える“ラグジュアリー”とは、単にリッチではなく、継承されてきたクラフトマンシップが落とし込まれた美しさ。世界各国では伝統技術やクラフトマンシップがまだまだ埋もれている。職人達に雇用の機会を提供し、市場で戦っていく力をつけていくサポートができればベスト」とクリスティは説明する。
彼女は「ギャップ(GAP)」でファッション界でのキャリアをスタート。「バナナリパブリック(BANANA REPUBLIC)」の世界展開を進め、日本市場でのビジネス開拓の指導者としても活躍。「バンドオブアウトサイダーズ(BAND OF OUTSIDERS)」の社長兼COOでもあった。またコンサルタント会社を経営している際には、フェアトレードブランドへの助言なども行っていた。
マイエット創設前にグアテマラの職人の技術を目の当たりにし、「この伝統技術とラグジュアリービジネスが共存できる道はないか?」という思いから自身のブランドを立ち上げたという。ブランド立ち上げのために2010年から半年間、職人を探して世界中を旅したクリスティ。ファッションを通じて社会貢献を行うブランドは他にもあるが、「世界各地には素晴らしい伝統工芸技術があるにもかかわらず、国から保護されずビジネスとして成立していない現状は未だ解消されていない」と現状を語る。
また、NYを拠点に活動する非営利団体「ネスト(NEST)」をパートナーに職人達を発掘。「ネストは伝統技術の継承を持続可能にするための職場環境を整えたり、必要があれば言語教育プログラム、ビジネスマナーなどさまざまな援助活動を行う組織。均等な賃金の支払いや職場環境をサポートしている」
マイエットは本国バーニーズやパリのギャラリー・ラファイエット、ロンドンのリバティ、セルフリッジスなどで扱われている。