ミキオ サカベ(MIKIO SAKABE)がAmazon Fashion Week TOKYO 2017 S/S最終日の2016年10月22日、渋谷みやしたこうえんで2017年春夏コレクションを発表した。ブランド10周年を迎える節目となるショーとあって、会場は入場規制がかかるほどの大盛況。数多くのストリートカルチャーを生み出してきたこの場所を、クレーンの大型照明が煌々と照らしショーがスタート。過去最大の50体のルックが野外ステージを飾った。
ファーストルックでは、白のシャツ×パンツ姿のモデルが登場。仕立てのよさが際立つ美しいシャツと対照的なスウェット素材のパンツ、そして足元にはリボンをふんだんにあしらったロンドンブーツ。70年代のグラムロック、デヴィッド・ボウイが履いていたようなシューズが目を引く。続いてシャツ、ジレやフォーマルなジャケットを纏い、80年代のマドンナのメイク、聖子ちゃんカットのモデルたちが次々と現れ、「いつの時代なのか」という感覚に包まれる。バックに流れるノンストップのDJミックスは紛れもなく、この時代の音楽だ。音の波に飲まれることなく肩パット、巨大なパフスリーブ、“腰パン”を超える低い位置にベルトを落としたパンツスタイル、ボディコン……かつて渋谷、原宿に生息していた懐かしのトレンドのエッセンスを汲んだスタイルが目の前を通り過ぎて行く。
「70~90年代と、時代が違うシェイプは混ざり合いづらいからこそ、混ざるよさを表現したかった」とデザイナーの坂部氏は語る。最先端のトレンドも半年すれば過去のものになるファッション業界で、“永遠なるものはあるのか”という壮大なテーマへの挑戦。この日のショーに居合わせた人たちは、自分の記憶(好きだった服やアイドルスター、音楽、街)とコレクションで見た景色を重ねただろうか。
今回のコレクションについて「日本では素材は扱うけど、シェイプに関してはあまりやるデザイナーが少ないので、シェイプにこだわり時代の変遷が表現しやすいフォーマルなジャケットやシャツを多く作った。ヨーロッパと違い、日本はファッションの歴史がないからこそ日本独特のカルチャーを意識し、誰もやっていないことに挑戦していきたい」とコメント。ショーの余韻に浸る間もなく、坂部氏の視線は未来を見ていた。