4月10日にグランドオープンする日本最古の温泉、愛媛県松山市「道後温泉」を舞台にしたアートフェスティバル「道後オンセナート2014」の詳細が発表された。
道後オンセナート2014は、道後温泉本館改築120周年を記念した温泉アートエンターテインメント。アーティストの草間彌生、フォトグラファーの荒木経惟、「マリメッコ(Marimekko)」テキスタイルデザイナーの石本藤雄、「ミナ ペルホネン(mina perhonen)」デザイナーの皆川明、詩人の谷川俊太郎が、ホテルの一室を作品として手掛けたことで話題だ。
アートプロジェクトは大きく三つに分けられ、「オンセナートコレクション」では街全体を会場とし、道後駅から本館までの道筋にアートを配置。昼も夜も街を巡りながら道後の魅力を最大限に味わえる。道後温泉本館外観を一変させる演出も仕掛けられ、中谷芙ニ子による「霧の彫刻」では、本館北側の各階から霧を落とし込み、霧が街へと流れてくことで、温泉街らしい湯気に包まれたような空間を演出する。この日登壇した同氏は、「本館北側は非常にクラシックな佇まいで、風に吹かれて変化する霧と呼応して幻想的な空間を作り上げる。この一大プロジェクトそのものが非常に素晴らしいもの」と述べた。
また最先端のメディアテクノロジーを駆使するクリエーティブ集団「ライゾマティクス(Rhizomatiks)」は本館南側で、建物の形状に合わせて映像を自在に投影するプロジェクションマッピングで光のアートを繰り広げる。登壇したライゾマティクス・真鍋大度氏はデモソフトを披露し、「iPadもしくはスマートフォンを使い、実際に目で見る外観と画面を通して見る外観の変化を堪能できる、訪れた人が操作して楽しめるコンテンツにしたい」と話した。
その他にも、伊佐爾波神社の石段では鈴木太朗による照明演出を、オーストラリアのアーティスト、スティーブン・ムシンによる影絵など、多くの作品が街の至る所に現れる。
泊まれるアート作品群「ホテルホリゾンタル(HOTEL HORIZONTAL)」では、約10のホテルや旅館の一室が著名アーティスト達の作品となる。草間や荒木、石本、皆川、谷川の5名が手掛けた作品は既に昨年のプレオープンで公開されているが、世界的アーティストである草間の作品を置く宝荘ホテルは1月に1,000人が以上が訪れ、来客数が増加しているという。
グランドオープンでは新たに4作品が加わる。ホテルルナパークはモデルで女優のKIKIを迎え、山ガールと呼ばれた彼女らしい山小屋をイメージした部屋を用意。道後ややでは、フランス人アーティストジャン=リュック・ヴェルムートが、三つの時計とそこから円心円状に伸びる波線のドローイングで構成された部屋をデザイン。道後プリンスホテルは建築家の谷尻誠が、壁面や床すべてを絵画仕立てにして、部屋をトロンプイユ(騙し絵)的に加工する。ふなやは陶芸家葉山有樹がプロデュースし、一族の繁栄を願う伝統模様・魚藻文を使って部屋を演出。
地域参加プロダクトでは、町づくりを担う地元住民たちが参加し、ロゴマークの作成やオンセナートユニフォームの開発を行う。アートパレードや、地元出身アーティスト月岡彩が企画する架空の旅行会社「ツッキーツアーズ」によるオリジナルツアープログラムなどを実施。上人坂エリアでは夜間滞在を目的とした大人のための遊び場を展開する。また本館館内の浴衣やタオルは、ビームス(BEAMS)がプロデュース。
道後オンセナートは年間行事として2014年度末まで開催されるが、主催者側は一過性のものではなく、作品をつくるアーティストを次々と刷新してイベントを仕掛け、新しい担い手を育てる地域復興に根差したものにしていくと話す。事業実行委員会委員長の甲斐朋香氏は、「道後の魅力を存分に知ってもらい、更に松山や愛媛へと、全体的に楽しめるものになっていければ」と話した。
【イベント情報】
道後オンセナート2014
会場:道後温泉およびその周辺エリア
会期:グランドオープン4月10日 フィナーレ12月31日