各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ」各店がオススメする書籍をご紹介。今回は東京・恵比寿の本店、ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。
■「4 Leporellos」ソール・スタインバーグ(Saul Steinberg)
ルーマニアに生まれ、ミラノの大学で哲学と建築を学び、その後アメリカに渡り漫画家としてニューヨーカー誌の表紙を担当したり、イームズチェアに絵を描くなど、アーティストとしても活躍したソール・スタインバーグ。
本書は、1954年の第10回ミラノ・トリエンナーレで発表された子どものための螺旋迷路の壁面にスタインバーグが描いた4つのドローイング連作が書籍化されたもの。2011年にスイスの出版社「ニーヴス(Nieves)」より刊行された「The Line」に加え、「Types of Architecture」「Shores of Mediterranean」「Cities of Italy」の全4冊で構成。長い紙に綴られたドローイングは、それぞれアコーディオンのように折り曲げられ、一つの函に収められる。
描かれているのは、スタインバーグが学生時代を過ごしたイタリアの風景や、建築史を辿った物語。巻物を見るかのように途切れることなく、リズミカルに彼の作品を堪能出来る。
藤子・F・不二雄、久里洋二や和田誠など、日本の多くの漫画家、イラストレーターらも彼から影響を受けたというのも納得のちょっとシニカルでユーモラスなドローイング集。また、彼の作品集は既に絶版のものが多く、現在では手に入るものも少ないため、本書は貴重な一冊である。
【書籍情報】
「4 Leporellos」
著者:ソール・スタインバーグ
出版社:Nieves
言語:英語
判型:蛇腹折本4冊セット(スリップケース入り)
「The Line」:256×5850mm
「Types of Architecture」:256×3900mm
「Shores of Mediterranean」:256×2730mm
「Cities of Italy」:256×1560mm
発刊:2014年
価格:6,000円