歴史や文化への関心が高いなら、まずは日本各地の伝統芸術や美しい風景、そしてそれらを守るために尽力している人々のことを知っておきたいもの。
沖縄旅行の拠点にぴったりな「ヒルトン沖縄北谷リゾート」から車で約30分の読谷村(よみたんそん)も、時を超えて守り継がれている伝統や自然をたっぷりと堪能することができる場所の一つだ。ここには、沖縄ならではの伝統芸術を生み出す数多くの作家が集まっている。
まずご紹介したいのは、紅型アーティストの新垣優香さん。首里高等学校の染織科卒業後、首里流染、玉那覇紅型工房、沖縄県工芸指導所などで紅型を学んだ後に独立した彼女は、これまでに「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」大賞を2年連続受賞しているばかりか、日本美術展覧会、日本新工芸展など数多くのコンテストでの入賞を重ねている、今注目のアーティストだ。
評判は東京にまで届き、2014年には西武池袋本店や伊勢丹新宿店でも個展を開催している他、前述の「ヒルトン沖縄北谷リゾート」ラウンジにも、彼女の作品が最も目を引く場所に展示されている。
南国沖縄ならではの鮮やかな色を独特の感性で操り、見る者の心をときめかせる作品ゆえ、彼女の作品を世界各国で目にすることが出来る日が必ずや訪れるに違いない。
そして、大阪の生まれでありながら、旅行中に出合った沖縄の焼き物に惚れ込み、移住を決意したというのが芝原雪子さん。読谷村北窯の「與那原工房」、那覇市首里に工房を構える「陶房眞喜屋」にて修行した後、読谷村渡慶次(とけし)に「工房コキュ」を構えて独立したという。
沖縄の土と釉薬(ゆうやく)を使って作る器は、シンプルながら女性らしくほっこりとした味わいが魅力。沖縄の風土とも相性がよいため、周辺のカフェなどでも彼女の器が使われている。
ビタミンたっぷりの青々としたゴーヤを使った一品などは、この器に盛ることで見た目のおいしさが格段にアップするに違いない。頭の中でイメージしてみただけでも、食卓がいかに幸せなムードに包まれるかがよく分かる。
飲み物を飲みやすいよう、カップのふちの薄さや角度にこだわっているのも、彼女の作品の特徴の一つ。確かに、取材時に淹れていただいた珈琲をいただいたところ、口をつけたときの安心感が別格だったばかりか、掌に伝わる優しい感触にも心が和んだ。
おいしいコーヒーで幸せな気持ちになる私達取材陣の横で芝原さんは、「私のお気に入りはこれなんです」とマイカップを見せてくれる。聞けばかなりのお酒好きのようで、自宅で飲むのはもちろんのこと、作品造りの気晴らしにもしょっちゅう近隣に飲みに出掛けているよう。もはや大阪生まれとは信じがたいくらい読谷村に馴染んでいる彼女にぜひ会って話をしたいなら、直接工房を訪れるのがおすすめ。もちろん、作品も購入可能だ。不定休とのことなので、訪れる前に確認することをお忘れなく。
最後に紹介するのは、読谷村高志保の「サンゴの養殖屋さん さんご畑」。10万株、120種類のサンゴと200種類以上の生き物たちが暮らすこちらのスポットでは、サンゴを始めとする海の生き物たちの生態について詳しく学ぶことが出来る。
色とりどりのサンゴを見て、触れるだけでなく、「サンゴの苗作り」まで体験することで、海の命をしかと感じることが出来るため、修学旅行生などにも大人気だという。
とりわけ、産卵シーズンには多くの人が訪れるため、なんと無料で開放しているのだとか。サンゴの産卵時には、沖縄の青い海が美しいピンク色に染まるというが、それを間近で見ることが出来るのだから、地元の人達もこぞって集まってくるという。もちろん、スタッフ一同、懇切丁寧に解説してくれるので、分からないことがあれば遠慮せずどんなことでも質問したい。サンゴが育む生態系を通して、美しい海と友達になれること必至だ。