ディオール(Dior)が、阪急うめだ本店9階祝祭広場にて「ル・テアトル・ディオール」展を開催中だ。
同展は、ディオールがクチュールメゾンとして出発することとなった初期のアーカイブを振り返るエキシビション。1945年、第2次大戦が終結した直後のパリで催された歴史的な展覧会「ル・テアトル・ドゥ・ラ・モード」にオマージュを捧げる形で、当時のオリジナルモデルを、細部まで緻密に再現したミニチュアが展示されている。
細事に神宿るーー。精緻な縫い目、繊細に寄せられたプリーツ、布を幾重にも重ねたアップリケ、そして輝くビジューにスパンコール。精巧に甦ったそれは、思わず息を飲んでしまう美の結晶だ。
うっとりと嘆息してしまうというよりも、その完成度の高さに圧倒されてしまうことだろう。細部に宿った美を辿ることで、ミニチュアであるはずのドレスが、等身大のリアリティを持って迫ってくるのだ。
それぞれにテーマを与えられた9つのドールハウスの中に、アトリエに仕える職人の手で一つひとつ、微に入り細に入り作り込まれたドレスが収められている。軽やかな電動仕掛けでクルクルと動く様は、舞踏会で華麗に舞う当時の貴婦人そのものだ。
例えば、初日にプレゼンターとして登場した森星がフェイバリットに挙げた「ミス ディオール」というドールハウスの中では、あまりにも有名なその香水から着想を得たドレスが展示されている。
色とりどりの花びらを纏った白鳥とでも表現したい、数限りないオーガンジーの花々が咲き誇るドレスが、ディオールを象徴する花、百合の花びらから登場する。このオーガンジーの花びらは等身大のドレスであっても細かい作業を強いられるはずだ。費やされる時間も相当なものだろう。それがさらにミニチュアサイズになっているのだから驚きだ。メゾンを支える職人たちの力量が如何ばかりか、想像に難くない。
精巧に創られているのはドレスだけではない。9つのドールハウスも同様で、ドレスを引き立てる舞台装置にも細かな意匠を見ることができる。当時のデザイン画やアーカイブを映像化したものが背景に流れる舞踏会場や、荘厳な石柱と白銀に輝くシャンデリアが彩る宮殿など、趣向を凝らした演出でこちらを楽しませてくれる。
回顧展でありながら、つねにモードを牽引し続けるディオールならではの「新しさ」を感じることができるのは、これまでに脈々と継承されてきた作り手たちによるクラフトマンシップの「確かさ」を感じることができるからだ。
短い会期だけに、見ることができた人は“幸運”と言っていいのかもしれない。しかも無料で拝覧可能。こんなに素晴らしい展示が、万人に開かれている。足を運べば、実際にその美に胸打たれるだけでなく、これまで築かれてきたメゾンの懐の深さもまた同時に感じ取れるはずだ。
【展覧会情報】
「ル・テアトル・ディオール」
会場:阪急うめだ本店9階 祝祭広場
住所:大阪府大阪市北区角田町8-7
会期:開催中~6月25日まで
入場無料
同展は、ディオールがクチュールメゾンとして出発することとなった初期のアーカイブを振り返るエキシビション。1945年、第2次大戦が終結した直後のパリで催された歴史的な展覧会「ル・テアトル・ドゥ・ラ・モード」にオマージュを捧げる形で、当時のオリジナルモデルを、細部まで緻密に再現したミニチュアが展示されている。
細事に神宿るーー。精緻な縫い目、繊細に寄せられたプリーツ、布を幾重にも重ねたアップリケ、そして輝くビジューにスパンコール。精巧に甦ったそれは、思わず息を飲んでしまう美の結晶だ。
うっとりと嘆息してしまうというよりも、その完成度の高さに圧倒されてしまうことだろう。細部に宿った美を辿ることで、ミニチュアであるはずのドレスが、等身大のリアリティを持って迫ってくるのだ。
それぞれにテーマを与えられた9つのドールハウスの中に、アトリエに仕える職人の手で一つひとつ、微に入り細に入り作り込まれたドレスが収められている。軽やかな電動仕掛けでクルクルと動く様は、舞踏会で華麗に舞う当時の貴婦人そのものだ。
例えば、初日にプレゼンターとして登場した森星がフェイバリットに挙げた「ミス ディオール」というドールハウスの中では、あまりにも有名なその香水から着想を得たドレスが展示されている。
色とりどりの花びらを纏った白鳥とでも表現したい、数限りないオーガンジーの花々が咲き誇るドレスが、ディオールを象徴する花、百合の花びらから登場する。このオーガンジーの花びらは等身大のドレスであっても細かい作業を強いられるはずだ。費やされる時間も相当なものだろう。それがさらにミニチュアサイズになっているのだから驚きだ。メゾンを支える職人たちの力量が如何ばかりか、想像に難くない。
精巧に創られているのはドレスだけではない。9つのドールハウスも同様で、ドレスを引き立てる舞台装置にも細かな意匠を見ることができる。当時のデザイン画やアーカイブを映像化したものが背景に流れる舞踏会場や、荘厳な石柱と白銀に輝くシャンデリアが彩る宮殿など、趣向を凝らした演出でこちらを楽しませてくれる。
回顧展でありながら、つねにモードを牽引し続けるディオールならではの「新しさ」を感じることができるのは、これまでに脈々と継承されてきた作り手たちによるクラフトマンシップの「確かさ」を感じることができるからだ。
短い会期だけに、見ることができた人は“幸運”と言っていいのかもしれない。しかも無料で拝覧可能。こんなに素晴らしい展示が、万人に開かれている。足を運べば、実際にその美に胸打たれるだけでなく、これまで築かれてきたメゾンの懐の深さもまた同時に感じ取れるはずだ。
【展覧会情報】
「ル・テアトル・ディオール」
会場:阪急うめだ本店9階 祝祭広場
住所:大阪府大阪市北区角田町8-7
会期:開催中~6月25日まで
入場無料