出会い、繋がりから生まれる絵。NOVOL:Art UP Vol.03【INTERVIEW】

開催日:2018.09.12-09.17
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2018.09.09
DJ MUROや卍LINE(マンジライン)、GADOROらの作品のアートワークも手がけるペインター/デザイナーのNOVOL。人間性溢れる人物画だけでなく、様々な企業やアパレル・ブランドともコラボレーションを果たし、アパレルから食品ラベル、カレンダーなどなど、様々な製品のデザイン、イラスト、ロゴ、レタリングまでを手がけるなど、その活動は多岐に渡る。

また、ライブペインティングのパフォーマンスも頻繁に行っており、毎月のようにイベント出演する横浜の「GRASSROOTS」を始め、日本各地で多くのミュージシャンともコラボを果たしている。昨年には自身の初の作品集『ten.』を刊行したことでも大きな話題を呼んだNOVOLに、アトリエでじっくりと話を訊いた。


NOVOL
「小さい頃はスポーツと音楽が好きな、普通の少年っていう感じでした。小学校の時に絵画コンクールみたいなので賞をもらったことはあるけど、それもあまり記憶に残ってないくらい(笑)」昔を振り返ってそう語るNOVOL。その後、高校ではハードコア・バンドでベースを弾くようになる。そんな彼が、絵に興味を持ち始めるキッカケは、ジャズとの衝撃的な出会い。

「ジャズとハードコアって普通はすごくかけ離れた音楽だと思いますよね。でも、僕が最初に聴いたジャズっていうのが、バンド仲間から渡されたオーネット・コールマンの『フリー・ジャズ』っていう作品なんです。ダブルカルテットといって、左右で違うバンドの演奏が鳴っている実験的な作品で。それを聴いた時、僕はハードコアと同じような高揚感を感じたんです。それ以来、そういうエクスペリメンタルな作品ばかり聴くようになったのと同時に、徐々にサイケデリックな絵にも興味を持つようになりました」。


最初はジャズのアルバム作品のジャケットを模写するところから始まったという彼の絵のキャリアは、SNSへの作品UPを経て、徐々に日本各地のアーティストたちとの交流が生まれていく。そして、そこで得た繋がりを糧に、2008年には全国4都市5カ所にて個展ツアーを敢行。その後の彼の活動にとっても大きな転換点となったというこのツアーで、今や日本を代表するDJであるMUROとの出会いを果たすことに。

「気合を入れて描き溜めていた作品も額装して、各地にも2週間ずつくらい滞在していたので、金銭面で言えばすごく大変でした。でも、そこでMUROさんと出会えて、すぐに仕事の依頼も頂いて。(MUROも参加するヒップホップ・ユニット)MICROPHONE PAGERの『王道楽土』のジャケットを手がけてから、色々な繋がりも増えていって、自分を取り巻く環境も変わっていったと思います」。



彼の作品と特徴としては、まるで油絵のような立体感と奥行きを生み出すタッチや、独特の色使いなどが挙げられると思うが、基本的に絵は独学。ひたすら描き続ける中で、自分らしさを獲得していったという。

「例えば人の顔を描く時って、丸で輪郭を描いて、十字で区切って目の位置を決めて〜っていうのが基本の手順ですよね。でも、それも自分は後から知って(笑)。僕は最初から色を塗っていって、最後に輪郭で整えるんですけど、これってグラフィティの人たちの描き方に近いんですよね。たぶん、好きでよく見に行ったりしていたので、自然と影響されていたんだと思います」「描き続けいくうちに、実際に見える物をそのまま描くのではなく、音やタバコの煙を上手く表現したいと思うようになって、色々な手法や画材を試しました。中には『これは自分が発見した手法だ』って思ったことでも、絵描きにとっては当たり前な手法だったり(笑)」。


自身が絵を描くにあたっての目的は「コミュニケーションという側面が強い」と語るNOVOL。これまでも人と人との出会いから様々な仕事に繋がってきたというだけあり、家でひとりで描くよりもライブペイントが好きだという。その場でリアルタイムで反応を感じられる分、やり甲斐も大きいと語る。近年ではNYで活躍するジャズ・トランペット奏者の黒田卓也と、ジャズ・ピアニストの大林武司と共にBLACK DIAMONDSと名乗り、3人でのパフォーマンスも披露。各地で好評を博している。

「キッカケは(黒田)卓也と共通の知人を通じて知り合って、毎月イベントをやっている横浜のGRASSROOTSで一回セッションしてみたんです。彼も普段のジャズの現場から離れて新鮮だったのか、ふたりともすごく手応えを感じて、その後一緒にツアーも開催しました。(大林)武司とは、NYにある卓也の家に行った時に出会ったんですけど、その時、彼らふたりがセッションしていたんです。それがすごくよくて、一緒にセッションしたいって僕から言い出して、実現しました」。


さらに、普通のライブペインティングと異なり、NOVOLの場合はただ音に合わせて描くだけでなく、キャンバスの裏にセッティングされたマイクを通して、自ら音も奏でる。バンド経験を持つ彼ならではのパフォーマンスだと言える。



稀有な出自と特殊なキャリアを築き上げるNOVOL。きっとこれからも人と人との繋がりを活かしながら、独自の道を歩み続けることだろう。



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