東京・銀座の資生堂ギャラリーでは、開廊100周年記念プロジェクト「それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE,THE EUGENE Studio」のもと、1stとして10月19日から12月26日まで、2ndとして2019年1月16日から3月17日まで、2つの特別展を開催する。
2019年に開廊100周年を迎える、現存する日本最古の画廊といわれる資生堂ギャラリー。資生堂の初代社長であり、資生堂ギャラリーの創設者である福原信三は、資生堂の化粧品づくりやデザインの基礎を築いた他、近代日本の先駆的な写真芸術家として活動したことで知られている。時を経た今、福原の活動を振り返り精査してみると、そこには資生堂という企業の経営、あるいは写真家としての活動領域を超えて、社会創造に積極的に関わった極めて現代的な芸術家としての姿が浮かび上がる。
本展のタイトルである「それを超えて美に参与する」は、福原が実際に語った言葉であり、ある領域を超えて美の創造に取り組むという福原の意志を述べたもの。その領域とは、例えば絵画と写真、写真と俳句などといった芸術ジャンルの境界から、工芸品と工業製品との違い、あるいは既成の価値観や従来のものの見方を乗り越えるようなことでもある。このような領域を超えて美の創造に取り組もうとする福原の姿勢は、芸術と経済の境界を行き来し、さまざまな社会の中の創造的な活動をつないでいくことで、ひいては社会をより良い美しいものに変革していこうとする、これまで知られることのなかった福原の人物像といえるだろう。
福原はまた、こうした活動を推し進めるために、銀座のギャラリーやパーラーといった、人々が出会い、自由に対話することができ、さまざまな新しい価値観を共有し、感化し合えるオープンな場の役割を重視していた。彼の写真を中心とした芸術活動のネットワークも、こうした場とつながり、そのつながりを通して社会の中に存在するさまざまな新しい価値をすくい取り、再び社会へと発信。それらを同時に資生堂の内部にも採り入れ、さらにオウンドメディアである『資生堂月報』(『花椿』の前身)を通じて日本全国へとそれらの情報を届けていった。こうした価値の循環ともいえる社会創造的な活動は、福原の独自の美学に支えられたものであった。
本プロジェクトは、こうした福原の本質的な側面を現代において継承し、異なるかたちで社会創造的な活動と芸術の新しいあり様を提示する「アッセンブル(ASSEMBLE)」と「ザ・ユージーン・スタジオ(THE EUGENE Studio)」を100年の時間を超えたコラボレーションに招き、福原と彼らとが創造的でダイナミックな連携を試みる。
アッセンブルは、2015年にイギリスの権威ある現代美術のアウォード「ターナー賞」を受賞したイギリスの建築家集団。ザ・ユージーン・スタジオは、近年国内外で大きな注目を集める日本のアーティストスタジオで、彼らの代表的な作品「White Painting」は、今日のグローバル環境における人々の共同的な意識を捉えつつ、より大きな美術の歴史のアップデートを試みている。
1st展示では、ザ・ユージーン・スタジオが設定を、アッセンブルが空間全体を作り上げている。2019年初めから始まる2nd展示では、アッセンブルの「ターナー賞」受賞対象となったリバプールのグランビー・フォー・ストリーツのワークショップを東京の銀座にオープンすることで、場所を超えた美の創造に挑戦する。
福原信三、アッセンブル、ザ・ユージーン・スタジオの3者は、それぞれの美学をともなって、既成の領域を超えてさまざまな創造に参画することで、価値の循環と相乗効果を生む社会創造に取り組むという点で共通してる。資生堂ギャラリーの開廊100周年に際し、3者の共同プロジェクトともいえる本展は、従来のアーカイブ展としては類を見ない、時間と空間を超えた3者のチャレンジングな展覧会となる。それはまさに、1世紀前に福原が実践した創造的な活動とその意志を今日に共有するものだろう。
また、本プロジェクトにおける福原の美学の精査については、福原が遺した200余のおよそ145万字に及ぶ芸術や美に言及したテキストを、AI・自動言語処理による形態素解析を通じて、彼の活動の指針となった思考を独自に解釈した。こうした新しいアプローチをベースとした独自のキュレーションも本展の際立った特徴の一つ。本プロジェクトにおいて提示されるユニークな視点と試みが、新しい社会の美と創造の可能性を見出すための貴重な機会となる。
2019年に開廊100周年を迎える、現存する日本最古の画廊といわれる資生堂ギャラリー。資生堂の初代社長であり、資生堂ギャラリーの創設者である福原信三は、資生堂の化粧品づくりやデザインの基礎を築いた他、近代日本の先駆的な写真芸術家として活動したことで知られている。時を経た今、福原の活動を振り返り精査してみると、そこには資生堂という企業の経営、あるいは写真家としての活動領域を超えて、社会創造に積極的に関わった極めて現代的な芸術家としての姿が浮かび上がる。
本展のタイトルである「それを超えて美に参与する」は、福原が実際に語った言葉であり、ある領域を超えて美の創造に取り組むという福原の意志を述べたもの。その領域とは、例えば絵画と写真、写真と俳句などといった芸術ジャンルの境界から、工芸品と工業製品との違い、あるいは既成の価値観や従来のものの見方を乗り越えるようなことでもある。このような領域を超えて美の創造に取り組もうとする福原の姿勢は、芸術と経済の境界を行き来し、さまざまな社会の中の創造的な活動をつないでいくことで、ひいては社会をより良い美しいものに変革していこうとする、これまで知られることのなかった福原の人物像といえるだろう。
福原はまた、こうした活動を推し進めるために、銀座のギャラリーやパーラーといった、人々が出会い、自由に対話することができ、さまざまな新しい価値観を共有し、感化し合えるオープンな場の役割を重視していた。彼の写真を中心とした芸術活動のネットワークも、こうした場とつながり、そのつながりを通して社会の中に存在するさまざまな新しい価値をすくい取り、再び社会へと発信。それらを同時に資生堂の内部にも採り入れ、さらにオウンドメディアである『資生堂月報』(『花椿』の前身)を通じて日本全国へとそれらの情報を届けていった。こうした価値の循環ともいえる社会創造的な活動は、福原の独自の美学に支えられたものであった。
本プロジェクトは、こうした福原の本質的な側面を現代において継承し、異なるかたちで社会創造的な活動と芸術の新しいあり様を提示する「アッセンブル(ASSEMBLE)」と「ザ・ユージーン・スタジオ(THE EUGENE Studio)」を100年の時間を超えたコラボレーションに招き、福原と彼らとが創造的でダイナミックな連携を試みる。
アッセンブルは、2015年にイギリスの権威ある現代美術のアウォード「ターナー賞」を受賞したイギリスの建築家集団。ザ・ユージーン・スタジオは、近年国内外で大きな注目を集める日本のアーティストスタジオで、彼らの代表的な作品「White Painting」は、今日のグローバル環境における人々の共同的な意識を捉えつつ、より大きな美術の歴史のアップデートを試みている。
1st展示では、ザ・ユージーン・スタジオが設定を、アッセンブルが空間全体を作り上げている。2019年初めから始まる2nd展示では、アッセンブルの「ターナー賞」受賞対象となったリバプールのグランビー・フォー・ストリーツのワークショップを東京の銀座にオープンすることで、場所を超えた美の創造に挑戦する。
福原信三、アッセンブル、ザ・ユージーン・スタジオの3者は、それぞれの美学をともなって、既成の領域を超えてさまざまな創造に参画することで、価値の循環と相乗効果を生む社会創造に取り組むという点で共通してる。資生堂ギャラリーの開廊100周年に際し、3者の共同プロジェクトともいえる本展は、従来のアーカイブ展としては類を見ない、時間と空間を超えた3者のチャレンジングな展覧会となる。それはまさに、1世紀前に福原が実践した創造的な活動とその意志を今日に共有するものだろう。
また、本プロジェクトにおける福原の美学の精査については、福原が遺した200余のおよそ145万字に及ぶ芸術や美に言及したテキストを、AI・自動言語処理による形態素解析を通じて、彼の活動の指針となった思考を独自に解釈した。こうした新しいアプローチをベースとした独自のキュレーションも本展の際立った特徴の一つ。本プロジェクトにおいて提示されるユニークな視点と試みが、新しい社会の美と創造の可能性を見出すための貴重な機会となる。
【展覧会情報】
それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE,THE EUGENE Studio
会期:1st 10月19日~12月26日、2nd 2019年1月16日~3月17日
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
時間:11:00~19:00、日曜・祝日 11:00~18:00
休館日:毎週月曜日(祝日の月曜も休館)
入場無料
それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE,THE EUGENE Studio
会期:1st 10月19日~12月26日、2nd 2019年1月16日~3月17日
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
時間:11:00~19:00、日曜・祝日 11:00~18:00
休館日:毎週月曜日(祝日の月曜も休館)
入場無料