エスモードジャポン(ESMOD JAPON)は、30周年を迎える2014年4月から、世界で活躍することのできる人材の育成を目指す、新コース「A.M.I / Accessing Mode Identity」を開設する。よりコンセプチャルな視点を取り入れた、新たな教育メソッドの構築に取り組む。
新コースは「拡散と収束のトレーニング」が最大の特徴とし、社会学者、認知言語学者、数学者、武道家、ジャーナリストなど、ファッション以外の分野の専門家を講師に招き、毎月ワークショップを実施。ワークショップで得た知識やそこで広がった考えを元ににデザインを構築するトレーニングを繰り返すことで、多角的な視点からコンセプトを設計し、ファッションの枠を越えた新たな価値観を提案できる人材を育成する。
新コース「A.M.I / Accessing Mode Identity」は世界レベルの学生を輩出するために1年間の独立した新コースとして開設する、最高峰のファッション教育プログラムとなるもの。仁野覚エスモードインターナショナル代表は「国際的な視野や創造性、オリジナリティー、確かな技術を持った即戦力になる人材を輩出したいということを目的にスタートし、29年。ほぼ毎年、100%専門職で就職する状態が続いている。エスモードグループ22校と日本の学生や教師のレベルを比較してみても、パリと比べても勝るとも劣らない。即戦力となる人材育成という当初の目標は達成できた」とし、
「30周年を迎える次の課題として、世界で戦える人間を育成するという意識を持ち、世界から日本に学生が集まるように世界で注目されている国際的なコンクールで入賞や優勝し、存在感を示すことも必要。今後は技術力を更にレベルアップしながら、世界で戦える人間、独立して自分のブランドを作ることができるような学生やラグジュアリーブランドでデザイナーとして仕事ができるような人材を育成したい」考えだ。すでにパリ校やインドネシア校から奨学生を送りたいという声が来ているという。
カリキュラムは、1ヶ月ごとに他分野の専門家をゲストに招き、各分野の先端的な考えをファッションに落とし込む技術の習得を目指す「コンセプトトレーニング」、立体裁断、メンズテーラード、クチュールテクニックなど、専門技術ごとに短期のカリキュラムを用意し、より完成度の高いコレクションを目指す「モデリズムトレーニング」、トレーニングから導かれたコンセプト力をもとに1年間で12体の卒業コレクションを制作する「コレクション制作」で構成される。
会見で、アートディレクターである「ミキオサカベ」の坂部三樹郎氏は「ファッションが好きだが、服作りや産業としてのファッションには興味が無いという若い人が多い。パリコレクションやニューヨークコレクションが目標だった90年代とは違い、ファストファッションやインターネット、アイコンを作るなど、多様化が進んでいる中で、みんなが同じ事を学ぶこと自体に疑問を持つ時代になっている。本質を理解していなければ次世代のデザイナーは出てこないのでは無いか。産地の活性化やインターナショナルなものづくりなども含め、エスモードインターナショナルグループとエスモードジャポンで打ち出していくデザイナー像を作っていきたい」とあいさつ。
また、同じくアートディレクターを務めるリトゥンアフターアワーズの山縣良和氏は「この10年から15年、ファッションに対してポジティブではない声が増え、ファッションの勉強をしたい仕事をしたいという若者も減っている。ファストファッションや大量生産大量消費のシンボルとして語られている。もう1回ファッションの本質に戻り、ファッションが社会に何ができるのかということを真剣に考えたい」と話した。
入学は一般入学と海外校の推薦や国際コンクールの受賞者などを対象にした奨学生入学の2種類があり、作品審査と面接を実施する。受験資格は美術系大学または服飾系専門学校卒業卒業同等の技術力、表現力を習得している方で、既卒者、大学生、社会人、国籍を問わず受験可能。学費は入学金10万円、授業料130万円(エスモード卒業生は入学金免除)。選考は8月から2014年2月まで(定員になり次第締切)。また、8月から個別相談会・ガイダンスを実施する。