4月20日、伊勢丹新宿店で開催されたフランスウィークキャンペーンのために来日した「イリエ(IRIE)」デザイナー、入江末男氏に話を聞いた。
入江氏はコシノヒロコの元で修行し渡仏。高田賢三のアトリエでアシスタントを務めた後、スタジオヴイ(StudioV)の専属デザイナーとして活躍。シンプルでありながら主張のあるアイテムの数々は、長くパリジェンヌに愛されている。
−− 年に1回は帰国されるとか。
そうですね。パリに住んでもう40年になりますが、1年に1、2回は日本に帰ってきます。今はパリの流行はこれですよ、というだけで通用する時代ではありませんし、それにパリでの日本への注目度もとても高いんです。
−− フランスから見た日本の魅力というと?
やはりモダンなものと伝統的なもののバランスが絶妙ということでしょう?秋葉原もあれば青山もあって、鎌倉も京都もあって。
ちなみに私、帰国したらまず麻布十番に行くんです。ちょうど日本ぽい感じとモダンな感じがじょうずに溶け合っていて、カフェでお茶をしながら自然な感じで日本の空気に戻ることができるんです(笑)
−− 今回、伊勢丹新宿店で展開されている日本限定販売のアイテムにフランスの国旗をモチーフにしたものがありました。
そうなんです。パリから届けるということだから素直に。でもトリコロールカラーがカットによってミニマムでモダンになっているでしょう? それからエディット・ピアフの「ラヴィアンローズ」からインスパイアされたローズの柄。胸元にスパンコールをあしらったトップス、カシュクールドレスなどです。
−− ドットのアイテムもカラーがシックですね。
ドットは大好きな柄ですから、いつも出していますね。トレンドはあっても、「イリエはこうです」というスタンスは大切にしています。
—— シンプルなカットソーにもイリエらしさがありますね。
私自身は、女性がボーイフレンドのトラディショナルなカッターシャツを、ボタンを二つくらい開けてネックレスして着こなすみたいなスタイルが好きなんですが、それってパリでは似合っても東京だとちょっと違うってことにもなるでしょう?(笑) だから押しつけるのは好きじゃないんですが。
私、パリではスクータに乗って毎日あちこち行きます。そういうパリでの毎日の暮らしの中で感じる空気みたいなものをスパイスにしているんです。
—— 日本でも、トレンドを取り入れつつ、自分のスタイルを確立している女性が多くなっています。
本当にそうです。ネオンカラーがトレンドだと言っても全身ネオンにするんじゃなく、じゃあ私はイヤリングをネオンカラーに、とか、ご自身で上手に取り入れていますね。
イリエを着ている方ということが一目瞭然で分かるっていうのではなくて、着る方によって違う、十人十色の着こなしをしてもらえたらハッピーです。
私は、フェミニストなんですが(笑)、毎日の暮らしを大切にしている方って素敵だなと思いますし、やはりファッショナブル。忙しいけれどどうしても観たい展覧会があるから、時間をやりくりして行くとか、お友達とのディナーを楽しむとか、そうやっていろいろな興味を持って人生をエンジョイして世界の空気を吸うことが、素敵なオシャレにつながるんじゃないでしょうか。