スウェーデンと日本をルーツに、幼少期よりアメリカ、ヨーロッパ、アジアを行き来していたというエマ・ウォーリン(EMMA WAHLIN)は、文字通りボーダレスな感性を持つ新世代アーティストだ。
2018年にデビューするや否や、SNSやネットを中心にバズを拡大。Spotifyが2月に発表した注目のニューカマーを年間を通じて応援するプログラム「Early Noise」にも選出されるなど、各方面からの注目を集めることに。その後も、著名DJ/プロデューサー陣による先鋭的なクラブ・ミュージックの要素を取り入れたトラック、そして天性の歌声とキャッチーなメロディー・センスを武器に、独自の存在感を放ち続けている。
目まぐるしく移り変わる新時代を築くアーティストたちの、現代を生きるスタンスやマインドに迫る連載企画「音色が映す新時代」の第5弾は、世界へ羽ばたく新鋭・EMMA WAHLINにフィーチャー。ビリー・アイリッシュと同じくZ世代に属する彼女のパーソナリティに迫る。
――小さい頃からダンスやミュージカルのレッスンをしていたそうですね。
はい。4歳くらいの時に、親の勧めでバレエを習い始めたのが最初で、バレエの次はヒップホップ、その次はジャズ、そしてコンテンポラリーというように、色々な種類のダンスを習いました。踊ること自体が大好きだったんです。ミュージカルは一緒にダンスをやっていた友人の影響でオーディションを受けるところから始まりました。そこで歌のおもしろさにも気づいたんです。
――音楽やダンス以外に夢中になったことは何かありましたか?
絵を描くことと、妄想することが好きでした。架空の世界を思い描いて、空を飛んだり。ファンタジー的な物語をよく頭の中で創造していました。参加していたミュージカルもそういうファンタジー的な作品が多かったので、そういった影響もあるかもしれません。
――ディズニー・チャンネルから影響を受けたというお話も拝見しました。特に好きだった作品を挙げるとすると?
『ウェイバリー通りのウィザードたち』ですね。そのシリーズに出演していたセレーナ・ゴメスがとても好きで、そこから彼女の音楽を聴くようになり、聴く音楽の幅も広がったのかなって思います。彼女の声、リリック、人柄、すべてに惹かれました。
――現在はLAのアートスクールに通われているそうですね。そこではどういったことを専攻し、学んでいるのでしょう?
クラシックとジャズのボーカル、あとは作詞作曲のクラスも取っていて、かなり忙しい生活になってしまいました(笑)。私は興味を持った物事に関して、どんどん追求したくなる性格なんです。
学校には音楽以外の分野を学ぶ方も多く在籍していて、自分のファッション・ブランドを立ち上げようとしている方だったり、映像制作を学んでいる方だったり。そういう方と友達になったりすることで、とても刺激を受けています。
――音楽面でも、競い合う仲間に恵まれていそうですね。
はい。私は自分よりもスキルのある人、上手い人を見ると、「自分ももっと頑張らないと」って燃えるタイプなので、自然とそういう人たちの近くにいるようになるんです。近くでレッスンとかを見て、お手本にしたりしています。
――日本にも長く住んでいたそうですが、日本と現在拠点としているアメリカ・LAでは、音楽やアートの捉え方が大きく異るのではないでしょうか。
そうですね。アートの捉え方、考え方が全然違うなと思います。アメリカの方はスケールが大きいというか、大胆。それに比べて、日本は細かいというか、繊細な傾向が多いですよね。どちらもおもしろいなって思います。アメリカでも日本の音楽やアートに興味を持っている方はたくさんいて。私はどちらの環境も経験してきているので、その中間の表現を目指せればなって考えています。
――2018年にリリースされたデビュー曲「Can't Have」はオランダ出身のDJ/プロデューサー・ユニット、Sick Individualsが手がけたことでも話題となりましたが、制作はどのようにして行われたのでしょうか。
楽曲の大枠は彼らが作ってくれていて、スタジオでレコーディングしながら色々な変化を加えていきました。「ここでアドリブしてみて」ってアドバイスを頂いたり、私もその場で思いついたアイディアを試してみたり。最終的に彼らがアレンジをまとめてくれて、完成に至りました。
――一見ラブソングのようにも思える、切実な感情を想起させるリリックも印象的です。
「手に入らないものが欲しい」っていうことを歌っている曲なんですけど、それは文字通り物だけじゃなくて、人間関係だったり自分の人生に対しても言える曲だなって思うんです。
――なるほど。
一時期、「音楽も辞めたい」って思うくらいすごく落ち込んだ時期があったんです。その時に感じていた、「やりたいことがあるんだけど、それができない」っていう感情ともリンクしていると思います。
――最新曲「Technicolor」は、リリック、サウンド、MVと一貫してタイトル通りのカラフルな世界観を表現した楽曲となっています。
「Technicolor」のリリックは、自分の人生ともリンクしていて。自分ひとりでいる時は、世界はそんなにカラフルじゃなかった。まるでモノクロのようだったんです。それが色々な人と関わるようになってからは、私の世界にたくさんの色彩が加えられた。そんな風に感じるんです。この曲のリリックはそういう気持ちを込めて歌っています。
――先述のSick Individualsだけでなく、他にもMatthew Tishle、Kara Maddenなど、世界的なプロデューサーと共にコラボレーションしていますが、彼らとの作業を経て気づいたこと、学んだことなどがあれば教えて下さい。
本格的なレコーディングを体験する前は、アドリブや即興を恐れていたんです。「自分にはできない」って思っていた。でも、プロデューサーの要望に応えていくうちに、アドリブや即興で自分の色を出すのが楽しいって思えるようになって。次第に「今度はもっとこうしよう」とか「こういうのはどうだろう? 」とか、自ら考えるようにもなりました。
――作詞作曲も学ばれているとのことですが、自分でゼロから生み出す作品は、どのような方向性になりそうですか?
聴く人に私のメッセージを届けられる曲を作りたいです。ただ心地良い、楽しいっていうだけではなくて、リリックの裏側にはちゃんと私の伝えたい想いが込められている。そんな作品を作れるように、努力しています。勉強する予定です。最近ではAbleton LiveなどのDAW(PCで楽曲制作を行うソフト、またはシステムの総称)を自分で使うようになりました。
――そういったメッセージというのは、日々の生活の中で感じる様々な出来事に対して芽生えてくるものなのでしょうか。
そうですね。同世代の友人を見ていると、とても落ち込んだりしている人が多いなって感じていて。SNSで他の人と自分を比べてしまったり、原因は様々だと思うんですけど、そういう人たちを音楽を通してサポートできればなって。ポジティヴなメッセージを作品に込めたいです。
――物心ついた時からSNSやインターネットが身近にあった世代=Z世代ならではの問題意識だと思います。EMMAさんはSNSなどはどのように活用していますか?
小さい頃から携帯を持たされていたので、SNSはずっと使っていて。最近では音楽はもちろん、メイクやファッションの情報もInstagramなどで得ることが多いですね。私の場合、自分より優れている人を見ると逆に燃えるので、それが原因で落ち込むということはあまりないです。
――アーティストとしての、今後の展望、将来の夢などを教えて下さい。
自分らしさを見つけること。それを「これがEMMA WAHLINだ」という風に表現していきたいです。自分の中では何となくわかってきているんですけど、まだ外に全然出せていないと思っているので。あとは、ワールド・ツアーで世界中を飛び回るようなアーティストになれたら良いなって思いますね。
2018年にデビューするや否や、SNSやネットを中心にバズを拡大。Spotifyが2月に発表した注目のニューカマーを年間を通じて応援するプログラム「Early Noise」にも選出されるなど、各方面からの注目を集めることに。その後も、著名DJ/プロデューサー陣による先鋭的なクラブ・ミュージックの要素を取り入れたトラック、そして天性の歌声とキャッチーなメロディー・センスを武器に、独自の存在感を放ち続けている。
目まぐるしく移り変わる新時代を築くアーティストたちの、現代を生きるスタンスやマインドに迫る連載企画「音色が映す新時代」の第5弾は、世界へ羽ばたく新鋭・EMMA WAHLINにフィーチャー。ビリー・アイリッシュと同じくZ世代に属する彼女のパーソナリティに迫る。
――小さい頃からダンスやミュージカルのレッスンをしていたそうですね。
はい。4歳くらいの時に、親の勧めでバレエを習い始めたのが最初で、バレエの次はヒップホップ、その次はジャズ、そしてコンテンポラリーというように、色々な種類のダンスを習いました。踊ること自体が大好きだったんです。ミュージカルは一緒にダンスをやっていた友人の影響でオーディションを受けるところから始まりました。そこで歌のおもしろさにも気づいたんです。
――音楽やダンス以外に夢中になったことは何かありましたか?
絵を描くことと、妄想することが好きでした。架空の世界を思い描いて、空を飛んだり。ファンタジー的な物語をよく頭の中で創造していました。参加していたミュージカルもそういうファンタジー的な作品が多かったので、そういった影響もあるかもしれません。
――ディズニー・チャンネルから影響を受けたというお話も拝見しました。特に好きだった作品を挙げるとすると?
『ウェイバリー通りのウィザードたち』ですね。そのシリーズに出演していたセレーナ・ゴメスがとても好きで、そこから彼女の音楽を聴くようになり、聴く音楽の幅も広がったのかなって思います。彼女の声、リリック、人柄、すべてに惹かれました。
――現在はLAのアートスクールに通われているそうですね。そこではどういったことを専攻し、学んでいるのでしょう?
クラシックとジャズのボーカル、あとは作詞作曲のクラスも取っていて、かなり忙しい生活になってしまいました(笑)。私は興味を持った物事に関して、どんどん追求したくなる性格なんです。
学校には音楽以外の分野を学ぶ方も多く在籍していて、自分のファッション・ブランドを立ち上げようとしている方だったり、映像制作を学んでいる方だったり。そういう方と友達になったりすることで、とても刺激を受けています。
――音楽面でも、競い合う仲間に恵まれていそうですね。
はい。私は自分よりもスキルのある人、上手い人を見ると、「自分ももっと頑張らないと」って燃えるタイプなので、自然とそういう人たちの近くにいるようになるんです。近くでレッスンとかを見て、お手本にしたりしています。
――日本にも長く住んでいたそうですが、日本と現在拠点としているアメリカ・LAでは、音楽やアートの捉え方が大きく異るのではないでしょうか。
そうですね。アートの捉え方、考え方が全然違うなと思います。アメリカの方はスケールが大きいというか、大胆。それに比べて、日本は細かいというか、繊細な傾向が多いですよね。どちらもおもしろいなって思います。アメリカでも日本の音楽やアートに興味を持っている方はたくさんいて。私はどちらの環境も経験してきているので、その中間の表現を目指せればなって考えています。
――2018年にリリースされたデビュー曲「Can't Have」はオランダ出身のDJ/プロデューサー・ユニット、Sick Individualsが手がけたことでも話題となりましたが、制作はどのようにして行われたのでしょうか。
楽曲の大枠は彼らが作ってくれていて、スタジオでレコーディングしながら色々な変化を加えていきました。「ここでアドリブしてみて」ってアドバイスを頂いたり、私もその場で思いついたアイディアを試してみたり。最終的に彼らがアレンジをまとめてくれて、完成に至りました。
――一見ラブソングのようにも思える、切実な感情を想起させるリリックも印象的です。
「手に入らないものが欲しい」っていうことを歌っている曲なんですけど、それは文字通り物だけじゃなくて、人間関係だったり自分の人生に対しても言える曲だなって思うんです。
――なるほど。
一時期、「音楽も辞めたい」って思うくらいすごく落ち込んだ時期があったんです。その時に感じていた、「やりたいことがあるんだけど、それができない」っていう感情ともリンクしていると思います。
――最新曲「Technicolor」は、リリック、サウンド、MVと一貫してタイトル通りのカラフルな世界観を表現した楽曲となっています。
「Technicolor」のリリックは、自分の人生ともリンクしていて。自分ひとりでいる時は、世界はそんなにカラフルじゃなかった。まるでモノクロのようだったんです。それが色々な人と関わるようになってからは、私の世界にたくさんの色彩が加えられた。そんな風に感じるんです。この曲のリリックはそういう気持ちを込めて歌っています。
――先述のSick Individualsだけでなく、他にもMatthew Tishle、Kara Maddenなど、世界的なプロデューサーと共にコラボレーションしていますが、彼らとの作業を経て気づいたこと、学んだことなどがあれば教えて下さい。
本格的なレコーディングを体験する前は、アドリブや即興を恐れていたんです。「自分にはできない」って思っていた。でも、プロデューサーの要望に応えていくうちに、アドリブや即興で自分の色を出すのが楽しいって思えるようになって。次第に「今度はもっとこうしよう」とか「こういうのはどうだろう? 」とか、自ら考えるようにもなりました。
――作詞作曲も学ばれているとのことですが、自分でゼロから生み出す作品は、どのような方向性になりそうですか?
聴く人に私のメッセージを届けられる曲を作りたいです。ただ心地良い、楽しいっていうだけではなくて、リリックの裏側にはちゃんと私の伝えたい想いが込められている。そんな作品を作れるように、努力しています。勉強する予定です。最近ではAbleton LiveなどのDAW(PCで楽曲制作を行うソフト、またはシステムの総称)を自分で使うようになりました。
――そういったメッセージというのは、日々の生活の中で感じる様々な出来事に対して芽生えてくるものなのでしょうか。
そうですね。同世代の友人を見ていると、とても落ち込んだりしている人が多いなって感じていて。SNSで他の人と自分を比べてしまったり、原因は様々だと思うんですけど、そういう人たちを音楽を通してサポートできればなって。ポジティヴなメッセージを作品に込めたいです。
――物心ついた時からSNSやインターネットが身近にあった世代=Z世代ならではの問題意識だと思います。EMMAさんはSNSなどはどのように活用していますか?
小さい頃から携帯を持たされていたので、SNSはずっと使っていて。最近では音楽はもちろん、メイクやファッションの情報もInstagramなどで得ることが多いですね。私の場合、自分より優れている人を見ると逆に燃えるので、それが原因で落ち込むということはあまりないです。
――アーティストとしての、今後の展望、将来の夢などを教えて下さい。
自分らしさを見つけること。それを「これがEMMA WAHLINだ」という風に表現していきたいです。自分の中では何となくわかってきているんですけど、まだ外に全然出せていないと思っているので。あとは、ワールド・ツアーで世界中を飛び回るようなアーティストになれたら良いなって思いますね。
EMMA WAHLIN 4th Single 『Technicolor』リリース
EMMA WAHLIN「Technicolor」
Release Date:2019年8月28日(水)
Label:Universal International/+81 Music
Tracklist:
1. Technicolor