日本橋三越本店は、「カルチャーリゾート百貨店宣言」を行い、それに伴うセレモニーを3月26日に開催した。更に同日、本館7階には複合型のコンセプトショップ「はじまりのカフェ(Hajimarino cafe)」をオープンさせた。
1904年に日本で初めてデパートメントストア宣言をした三越が、時を経て日本橋三越本店として、ファッションデパートの道以外のビジネスモデルを持った百貨店を目指していくことを新たに宣言。この「カルチャーリゾート百貨店」とは、日本文化の発信拠点である日本橋において、日本文化の精神に浸ることのできるこれまでになかった”楽しんで遊べる店”を指す。
この起点とも呼べる「はじまりのカフェ」は、「どこに行けば買えるのか分からないモノ・コト」を提案していく体験型複合ショップ。百貨店本来の在り方を見直し、「モノを集める場所から、かたちのないものを商品化する場所へ」「ファッションを売る場所からカルチャーを売る場所へ」をコンセプトに、カルチャーが人々に与える“楽しさ”や“遊び”を感じることのできる場所を目指す。オープン時の取り組み企業は約40社にも及び、ただの娯楽で納まらない多様性をもつショップであることを窺わせる。
同店は五つのゾーン・ゲートで構成。「PLAY/遊ぶ」がテーマのポップアップショップゾーン「ゲート(GATE)」では、第一弾で「自然とはじめる物語」と題した、家づくりや村づくり体験の販売を行う。ツリーハウスの販売の他、千葉県市原にある10万坪ほどの広さの土太郎村をプロデュース。山歩きや農園作りを紹介する。この村は「お客様とのコミニュケーションで村を作り上げていく」ことを目的に様々な催しを企画し、本館屋上で左官体験や家具作りができるワークショップも開催。ポップアップショップは2週間で入れ替わるが、この村は存在し続け、他のゾーンとの連携で村づくりを進めていくという。ここでは、メガネ型ウエアラブル端末のスマートグラスを掛けて乗馬やカヌーなど拡張現実を体験することができるコーナーも設けられている。
「SHIFT/変える」がテーマの「ガイド(GUIDE)」ゾーンでは、家族・老後を考える人達の健康管理と快適な生活を支援。高品質の食事や水の宅配、家事代行サービスなどの紹介・販売をする。「セコム(SECOM)」の防犯システム導入、老人ホームの紹介に至るまで、相談者の要望に細やかに対応していく。家族の写真集や、3Dプリンターを駆使したフィギュアなどを製作するサービスも行う。
「LEARN/学ぶ」がテーマの「フォレスト(FOREST)」ゾーンでは、オーガニック商品や調味料、キッチングッズ、観葉植物等をラインアップし、飲食もできるオープンスペースも用意。食・生活・アウトドアなど様々なテーマを設けたワークショップを毎日開催する。オープン初日には、代謝をアップさせる料理、バリスタチャンピオンによるラテアート、スムージー作りのワークショップが開かれた。
「ツール(TOOL)」ゾーンでは、カメラやモバイル端末の他、撮影セミナーやフォトサービスなどITを活用したライフスタイルを提案、「ギア(GEAR)」ゾーンでは、アウトドアブランド「モンベル(mont-bell)」のトレッキングアイテムを中心にそろえ、体験ツアーやセミナーの販売をする。
また各ゾーンでは、関連する書籍やカフェで提供する食材の一部を販売。更に、すべてのゾーンにタブレット端末を設置し最新情報を発信すると共に、高齢の顧客が気楽にタブレット端末に触れる機会を提供する。
この日和服姿で登場した、三越伊勢丹常務執行役員の日本橋三越・中陽次本店長は、「はじまりのカフェはコミュニケーションの場であり、目指す百貨店の象徴。形のないものを販売し、使い方や楽しみ方をレクチャーして暮らしの進化をお手伝いする店を目指していく。陳列優先でない接客を見せ、カフェの考え方を館全体へ浸透させていきたい」と述べた。サービスではなくきちんとお金を取って、ビジネスとして確立させることがレベルアップに繋がるといい、初年度は8億5千万円の売上高を目標に掲げる。