ロリータファッション愛好家の間では“ベイビー”の呼び名で親しまれる「BSSB(ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト、Baby, The Stars Shine Bright)」のパリ店(72, Avenue Ledru Rollin 75012 PARIS)が、オープンしてから早くも7年目に入っている。
フランスのみならず、ドイツやスペインなどヨーロッパ各地からの集客を誇り、今となってはヨーロッパのロリータファッションを支える最重要ブランドとなった。パリのベイビーも日本のベイビー同様、店と顧客、そして顧客同士のコミュニケーションの場となる「お茶会」を定期的に開催し、最近ではパリコレクション期間中の3月1日に会を催した。
お茶会はおよそ半年毎に会場を変えて行われるが、今回は昨年の会場として特に人気の高かったラデュレ・シャンゼリゼ店を再び使用。顧客はお茶・ケーキ代として日本円で数千円の実費を支払う必要があるものの、店側は日頃の感謝を顧客に示す機会とあって、会場費や各人へのプレゼント費用など多くを負担している。
お茶会では、ベストドレッサー賞などのいくつかの賞が設けられ、受賞者にはベイビーのドレスなど豪華なプレゼントが贈られるため、我こそはと着飾ったロリータ達が大集合する。お茶会は楽しい場であるが、美を競う場でもあり、その独特の緊張感が興味深い。また、青木美沙子や深澤翠といったロリータ・カリスマモデルが特別ゲストとしてやってくることもあり、本場(?)ロリータファッションの勉強会という一面もある。そんな様々な要素を持つお茶会の前売りチケットは、発売してから数十分で売り切れるほどの人気振りだ。
今回は石川県の加賀友禅とロリータの融合、「加賀ロリ」の関係者がゲストとして来場。加賀ロリのキャラクター“ようちゃま”を描いた金沢大学2年生の女性が、「加賀ロリ・コンテスト」で優勝した服を着用し、加賀友禅と金沢の魅力をアピールした。加賀ロリは、今年スタートした石川県における3年計画の新ビジネスの一環で、今後、日本のアニメ・コスプレの祭典「ジャパン・エクスポ」にも参加する予定だという。
ベイビーのパリ進出と時期を同じくして、ブティック出店を果たした日本のロリータブランドはいくつか見受けられたが、現在はすべて撤退し、残っているのはベイビーのみ。不景気が続くヨーロッパにありながら、顧客を開拓し続け、堅調なビジネス展開をしている。今後もヨーロッパにおける老舗ロリータブランドとして、着実に支持を広げていくに違いない。