【旅ブログ】ALOHA STATE~ビッグ・アイランドの夕焼けに包まれる時~

2014.10.16

首元を秋の風が撫でる夜の東京羽田空港を23時前に飛び立ち、ホノルルまで7時間半。途中日付変更線を越え、一路南国へ。ホノルル空港に降り立ったのは、同日の朝10時。もう一度同じ日を過ごすことができるのも、ならではの不思議な感覚。

ホノルル空港には各国の飛行機が行き交い、この島が世界中の旅行者に愛されていることがわかる。ハワイアン航空のやや小さな機体に乗り換え、いざハワイ島へ。ハワイ島は、豊かな自然がみせる多様な表情と広大な土地を持つ島。地元の人々から親しみを込めて「ビッグ・アイランド」と呼ばれている。

機体に乗り込むと、まもなくゆるやかに飛行機は走り出した。思いのほか遠くまで空港内を走る飛行機に「なぜ」と疑問が沸きあがる。機体が空港のはずれにある海に近づく。まばゆい太陽に照らされた青い海が窓の外に広がる。そこでエンジン音が高まり、ゴーッと音を立て、機体が空に浮いた。なんという粋な計らいだろう。きっとこの島の人は、この美しい海を誇らしく思っているに違いない。

約40分程でハワイ島の西側に位置する街、コナに到着。タラップを降りると、まずその異様な光景に驚く。火山が生み出した真っ黒い大地が迎えてくれるのだ。レンタカーで車で南に走ること約1時間。ごつごつとした溶岩の地面にやがて緑が顔を出し、気づけば車は南国の草に囲まれた道をゆく。かつてキャプテン・クックが上陸したというケアラクア湾を右手に眺め、脇道を下ること約3マイル。大きなカーブを曲がると、一面に広がる海。水平線のはじからはじまでを、一目で見ることは出来ない。この島が海に包まれていることを感じる美しく壮大な景色がそこにある。

海を望む高台にある宿に着き、エンジンを止める。ヤシの木の向こうの海に夕陽が落ち、じわりじわりと茜色に染まる海。耳に入るのは風の音だけ。電子音がまったくしない時間を過ごすのは、なんという贅沢だろう。あまりの美しさに自然の持つ力がとてつもなく大きいということが、すんなりと腹に落ちてくる感覚を覚えた。東京での生活とはまったく違う暮らしが営まれている。そう思うと、日常がはるか遠くにゆき過ぎていくような気持ちになる。

視界に広がる海と空をただ眺める。それだけで心が満ちたりるのはどうしてだろう。
「もっと、こうありたい」と願っていた自分はどこに置いてきたのだろう。

目の間に広がる光景が、静かにその色合いを変えていく。ただ、その様を眺めているだけで、幸せだと感じるのだから。

ビッグ・アイランドが、その豊かな自然で私たちを包み込んでくれる。
Shigematsu Yuka
  • ケアラクア湾の夕暮れ
  • 抜けるような青空が広がる、ホノルル空港
  • ハワイアン航空でコナ空港に降り立つ
  • 刻々と色を変える光景を眺める
  • ハワイ島へ向かう機内から、青い海と空を眺める
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