弦の調べがドレスキャンプ(DRESSCAMP)2016春夏メンズ、ウィメンズコレクションのランウェイに響いた。15日、会場となった渋谷ヒカリエホールAでは、満場の観客がデザイナー岩谷俊和が描く優美な世界を見つめた。
今シーズンのテーマは「SWEET」。相反するものがあることで、よりいっそうその甘さが引き立つように、ファーストルックに登場した漆黒のドレスの胸元には、淡いピンクの優美な花が大胆に飾られた。
ルックには、実に多様な表情の「花」が登場。ビビッドで生命力を感じる色彩の小花柄、エアリーで水彩画のようなタッチの花柄が、洋服のフォルムにさらに表情を加えていく。メンズのルックでも、大きく花ひらいた薔薇やアネモネの柄を用いたアイテムが印象に残った。
絢爛な色彩が溢れた後、後半は黒一色のルックが登場。今回、そのクリエーションを支えたのは、大正4年に京都・壬生(みぶ)に創業した黒染めを得意とする染め屋「株式会社京都紋付」。“深黒”と呼ばれる程に、卓越した技で染めの技術がランウエイでも際立っていた。
ファッションが街並に色を添えていると感じる時がある。そのファッションで、街を行き交う人々が、街に息吹を与えているとさえ思うことがある。今回、ドレスキャンプのショーを通じて、ファッションが持つそんな生命力=生きる力のようなものを感じた。