1920年代のものを中心に並べられた、ウォルト社製の棚は「dans la nuit(夜に)」(1924年)や「VERS LE JORS(光に向かって)」(1926年)など。ウォルトは、パリで活躍したクチュリエのシャルル・フレデリック・ウォルトが創業したオートクチュール メゾン。
展示は、美しい曲線や植物の模様などの、美しいアール・ヌーヴォーの時代に始まる。
古代の衣装に包まれたミステリアスな女性を描いた、ピヴェール社の「POMPEIAポンペイア」の香水瓶は1907年頃のもの。変形型押しの外箱までも色彩豊かで美しい。
クリスタルとは別のガラスを用いた瓶。そのラベルや外箱などから、アール・ヌーヴォーの名残を最も感じられる作品。
自然をモチーフに創られたラリックの3作。左から、「A COTES BOUCHON PAPILLON(パピヨン)」(1911年)、「PETITES FEUILLES(小さな葉)」(1910年)、「FOUGERES(シダ)」(1012年)。
中央の「LE SYCCES(勝利)」(1914年)、右の「TELLINE(テリーヌ)」(1920年)、そして極めて繊細に浮き彫りで描かれた珊瑚の模様が一際目を引く「LE COURAIL ROUGE(赤珊瑚)」(1924年)。
象徴的なティアラ型のデザインに描かれた三羽のツバメにジャポニズムの匂いが漂う「BOUCHON TROIS HIRONDELLES(三羽のツバメ)」(1920年)。そして美しい自然の、植物に目を向けた「BOUCHON EUCALYPTUS(ユーカリ)」(1919年)、「BOUCHON CASSIS(カシス)」(1920年)
緩やかなスロープを下るに連れ、時代はゆっくりと現代へと近づいて行く。
香水の持つセンシュアルな魅力を再確認させてくれる、「JEUNESSE(青春)」(1933年)。
近年の名香の美しいデザインを一堂に会した、地下の展示室。
1990年代半ばに発表された、通称「グラベ」は美しいガラス彫刻が施されたコレクション。その全28種を初めて展覧された。
ルタンスのブティックのためだけに制作される「グラベ」は、釣鐘型のボトルを基調に金やプラチナ、エナメルを贅沢に用いた複雑な彫刻模様に職人技が光る。発表される度に新しい顔を見せてくれる「グラベ」は、毎年限定30個のみ。
資生堂「FEMINITTE DU BOIS(フェミニテ・デュ・ボア)」(1992年)。くすんだピンクに彩られた不透明ガラスの造形が女性の身体を想起させる。
「練香油 梅」(1921年)は、かの「ZEN」や「資生堂 香水 ホワイトローズナチュラル」へと繋ぐ、美しい資生堂の香りの遺伝子。