Soup Stock Tokyoのスマイルズが越後妻有トリエンナーレに出品。デンソーとスープロボを開発

2015.07.19

スマイルズがデンソーの技術協力の元、7月26日から9月13日まで開催される第6回越後妻有トリエンナーレにアート作品を出品する。作品名は「新潟産ハートを射抜くお米のスープ300円」。

16日に、この作品への思いを、スマイルズ代表取締役社長・遠山正道氏と、デンソーウェーブ代表取締役社長・柵木充彦氏が語るイベントが開催された。イベントでの説明によると、同作品は「食」「技術」「おもてなし」の3つのコンテクストを表現しているという。

同作品は、新潟県十日町の廃校・旧名ヶ山小学校で展示される。300円で客が買い求めたスープを持って別室に入ると、デンソーウェーブが今回のために開発したロボティクスがおり、客から預かったスープに何やらアクションを起こすのだという。遠山氏の口からは「黒酢」「ミケランジェロのアダムの誕生」などのキーワードが挙がったが、細かなディティールは会場でのお楽しみということに。

この作品の制作に取組んだ背景には、「20世紀は経済の時代、21世紀は文化の時代。中でもアートとは価値そのものではないか」という考えがあるという。遠山氏も柵木氏も「この作品が、企業にとってどのような意味を持つのか、明確に言語化できない部分もある」としながら、柵木氏は「チャレンジしてみることは楽しいこと」と笑顔で語り、遠山氏も「5年後振り返った時に、その理由が分かれば嬉しい」と述べた。

同イベントの後半は「アートからビジネスが学べること」と題したトークセッションが行われ、前述の遠山氏、柵木氏に加え、越後妻有トリエンナーレの総合プロデュースを務める北川フラム氏、美術ジャーナリストの鈴木芳雄氏もパネリストとして登壇。

アートとビジネスの関係について遠山氏は、「やりたいことがあり、世の中の流れを見ながらそれを具現化し、他者の評価を得て継続していく」という流れはビジネスだけでなくアートにも共通するものだと語った。

また、設計者出身の柵木氏は「設計を英訳するとデザイン。設計とは、時代と技術から最適解を導くことだと考えている。3次元と時間軸の最適解が描く放物線が美しいように、研ぎ澄まされた最適解は美しい」と設計(デザイン)と美についての持論を述べた。

2000年から越後妻有を舞台に地域の元気をアートを通じて取り戻そうと働きかける北川氏は「美術とは技術とも似ている。厳しい環境の中で暮らしているその土地で生きていくことができないのなら、美術なんていらない。自然と人間の中にあるものが美術。そして、食も技も美術だと思う」とコメントした。


【展示情報】
作品:「新潟県産ハートを射抜くお米のスープ300円」
会場:新潟県十日町真田丙1498 旧名ヶ丘小学校
期間:7月26日~9月13日
鑑賞料:会場施設「アジア写真映像館」入館料500円+スープ代として300円
休館日:会期中無休
鑑賞時間:10時~17時(途中準備時間あり)
Shigematsu Yuka
  • 7月26日より、越後妻有トリエンナーレに出品される作品「新潟産ハートを射抜くお米のスープ300円」
  • 作品の会場となる新潟県十日町にある旧名ヶ山小学校
  • 旧名ヶ山小学校の会場では、スマイルズの社員が内装のペンキ塗りなどを行う
  • 会見に臨む株式会社スマイルズ代表取締役社長の遠山正道氏
  • デンソーの子会社である株式会社デンソーウェーブ代表取締役社長の柵木充彦氏
  • アートフロントギャラリー代表の北川フラム氏。同氏は「越後妻有トリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターを務める
  • 編集者/美術ジャーナリストの鈴木芳雄氏
  • 遠山氏が被る黄色のキャップは、デンソーの来客者用キャップ。このキャップに惚れ込んだ遠山氏が同社から譲り受けたのだという
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