ロンドン中心地のケンジントン・ガーデンズ(ハイド・パークと隣接)内に位置するサーペンタイン・ギャラリーに、建築家の藤本壮介が設計したパビリオンが登場した。
同ギャラリーでは、毎年初夏から秋に掛けて、有名建築家を招聘して期間限定のパビリオンを建設している。これまでにこのプロジェクトを請け負った建築家は、第1弾のザハ・ハディド(2000年)を始め、レム・コールハース(2006年)、フランク・ゲーリー(2008年)、ジャン・ヌーベル(2010年)、ヘルツォーク&ド・ムーロンとアイ・ウェイウェイ(2012年)など錚々たる面々。
第13回目を迎える今回は、史上最年少となる41歳の藤本が選ばれた。日本からは過去、伊藤豊雄(2002年)、妹島和世と西沢立衛によるSANAA(2009年)が抜擢されている。
昨年11月に現場を訪れた藤本は、そこで青々とした自然を思い浮かべ、そこに溶け込むような建築を考え出したという。これまでも、角材で構成される「ファイナル・ウッドゥン・ハウス(Final Wooden House)」「ハウスN(House N)」など自然と人工物の間に位置するような建築作品を発表してきた藤本だが、今回も太さ20mmの白いスチール棒を格子状に組んで、公園の自然空間と融合するような“透明”のパビリオンを造り出した。
内部にはイギリスの老舗百貨店フォートナム&メイソンのカフェがオープンしており、中でくつろぐこともできるし、ジャングルジムのように登って遊ぶこともできる。晴れた日には、周囲の自然の緑と、真夏の青空、白の格子との美しいハーモニーを楽しむことができるとあって、市民の憩いの場ともなっている。