各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ(NADiff)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・清澄白河の支店、ナディッフ コンテンポラリィ(東京都江東区三好4-1-1 東京都現代美術館内)です。
■『金氏徹平の四角い液体、メタリックな記録 Tracing the Raw』
「パフォーミングアーツ」と「琳派」―ジャンルの横断性。そして、いま「ナマ」とは?―
2014年秋、京都国際舞台芸術祭の公式プログラムとして開催され好評を博した、現代美術家・金氏徹平による個展「四角い液体、メタリックなメモリー」。出展作品や、そこで行われたパフォーマンスの様子を梅佳代、川島小鳥、パトリック・ツァイら5名の写真家が撮影し、記録集として発刊された本書。
これまでに岡田利規やシアターカンパニーの舞台芸術を手掛けてきた金氏が、「パフォーミングアーツ」と400年記念事業も兼ねた「琳派」という関係性の薄い2つのテーマに挑戦した。横山裕一らが「風神雷神図」をトレースしたライブペインティング、オオルタイチが風神雷神に扮して演奏した音楽ライブなど、空間全てを舞台芸術として捉え構築してゆくその過程は「コラージュ的な手法の延長、もしくは新しい彫刻の概念に基づくものであるというほうが近い」と金氏は言う。
また、パフォーミングアーツをあえて本にまとめ、その空間にいなかった多くの人の目に触れることで、「ナマ」である、「現場」にいるという意味や価値をあらためて問う。金氏の大胆な試みはいかなるものだったのか?ライブ感溢れる写真と共にぜひ目撃してほしい。1冊ずつ異なる“生”らくがき付き!
【書籍情報】
『金氏徹平の四角い液体、メタリックな記録 Tracing the Raw』
著者:金氏徹平
撮影:梅佳代、パトリック・ツァイ、川島小鳥、西光祐輔、守屋友樹
発行:HapPenings
92ページ/210×258mm
言語: 日本語、英語
発刊:2016年3月5日
価格:1,852円