三越は4月1日、今年日本初の「デパートメントストア宣言」から110年を迎えるのを機に、57年ぶりにショッピングバッグを一新し、日本橋三越本店本館1階ライオン口正面入り口にてお披露目記念セレモニーを行なった。
「デパートメント宣言から110年。そして、次の100年をスタートするにあたり、ショッピングバッグリニューアルを決めた。友禅をデザインに採用することでショッピングバッグ自体がアート作品となり、世界一のショッピングバッグであると自負している。単なる紙袋としてではなくアート作品として眺めて欲しい」と中陽次・三越日本橋本店長。
セレモニーでは、これからの新しい未来への門出を祝い、江戸消防記念会第一区の団員達が木遣りを歌いながら登場。ショッピングバッグお披露目を祝う木遣りの他に、纏ふり、江戸時代からの伝統を受け継ぐ、はしご乗りの演技を披露。ポスターにも採用された「腹亀」のポーズをはじめ、八艘・腕だめ・月流しなどの演技を次々と行ない、演技が決まる度に観衆から感嘆の声が上がり、拍手が送られた。
ショッピングバッグのデザインを手掛けたのは友禅作家で人間国宝の森口邦彦。森口が着物のためにデザインした「白地位相割付文 実り(しろじいそうわりつけもん みのり)」を元に、立体的な構造を考慮した上でデザインの配置を再設計した。バッグの4面に描かれた幾何学模様の黒い部分が少しずつ変化し柄が動いているような、躍動感のある表情を見せる。
森口氏は「40年以上一点ものの着物を作り続け、その一点を好きになってくれる人のためを思って着物を作ってきた私にとって、何千万人という人が持ち歩くものを作るというのは新しい挑戦だった。依頼をいただいた時、正直戸惑いはあったが、伝統文化を身近に感じてもらえるまたとない機会だと思い引き受けた。日本橋を始め、三越のある町がこのショッピングバッグで埋め尽くされることを想像すると緊張と喜びの気持ちでいっぱい」と語る。