10月20日まで「ライゾマティクス(Rhizomatiks)」が、テクノポップユニット「パフューム(Perfume)」のために研究・開発・制作したプロジェクトを紹介する展覧会「ライゾマティクス inspired by Perfume」が、メディアアートの美術館「NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)」(東京・初台)で開催されていた。
メディアアート、インタラクティブアートは、日本が世界に誇る最先端技術を駆使したジャンルとして、2000年あたりから一躍脚光を浴びた。しかし実際には、コンセプトや構成力、表現力が技術に追いつかず、「テクノロジーのお手玉」的な作品も多く、伸び悩みの時期も経てきたと思う。
ところが近年、省庁主導の文化芸術戦略の後押しも得て、メディアアートへの注目は急速に高まり、同時にエンターテインメントの分野と結びつくことで更に加速を見せているという印象だ。
そんな中、ライゾマティクスと、その創立者の1人であり、新世代のメディアアーティストとして国際的評価も高い真鍋大度の活動には目を見張るものがある。あくまでテクノロジーの研究開発ありきのその企画力は、大きな現場でこそ本領を発揮しようとしている。彼の創造性に迫ってみよう。
「エンターテインメントの世界に、メディアアート的なアプローチで新風を吹き込んだ」、と評されることの多い、Perfumeとの一連のプロジェクトだが、この言い方にはちょっと違和感を覚える。むしろ「エンターテインメントという巨大な器の中で、メディアアートが大暴れしている」、と言ったほうがしっくりくる。
そして、我々がその状況を最初に見た記憶は、当時の最新技術を駆使して「パーフェクトな夢」を作り出した、ディズニーランドのエレクトリカルパレードだったはずだ。
「リサーチ機関で研究に取り組み、その成果を映画やアトラクションで実現し続けているのがディズニーです。本当に凄いんですよ。照明の無線制御について調べるとエレクトリカルパレードがまずは出て来ますから。ライゾマティクスは小規模なチームですが、この数年でエンターテインメント、広告、メディアアート、研究開発など色々なフィールドで活動していてPerfumeのプロジェクトではミュージックビデオ、ライブ、webサイトの制作サポートを担当しています。僕らは裏方でPerfumeやMIKIKO先生のやりたいことを実現するためのお手伝いをしている感じですね」と真鍋は話す。
アイドル・プロジェクトの「脳」を司り、その「内臓」や「四肢」をも動かしているという印象を受けるが、活動領域は既にPerfume本体を離れ、拡張現実の世界に及んでいた。
(2/3に続く。)