森美術館は2月1日から5月6日まで、国内史上最大の回顧展「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」を開催する。1月31日に、内覧会が開かれた。
本展は、日本で過去最大となるウォーホルの回顧展。タイトル「永遠の15分」は、「将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう」というウォーホルの有名な言葉に由来したもので、20世紀アメリカの世相を体現したかのような、初期から晩年までの作品が包括的に紹介される。アメリカ・ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館が所蔵する作品約400点を展示し、さらに「タイムカプセル」と称した箱に収められた、ウォーホルの私物約300点も公開する。
場内は9セクションに分けられ、冒頭では「ウォーホルとは何者なのか?」をベースに、少年時代から商業デザイナーとして活躍した時期を経て、アーティストとして成功し87年に他界するまでの、ウォーホルのポートレートを一堂に展示。1986年に制作された、トレードマークのシルバーウィッグを被ったシルクスクリーンの自画像が、来場客を迎える。
第2セクションでは50年代イラストレーター、商業デザイナーとして活躍した時代の、ファッション誌や広告で手掛けた作品を展示。婦人靴の広告用のイラストや靴型にペイントを施した作品なども見られる。当時ウォーホルが多用したドローイング技法「ブロッテド・ライン(しみつきの線)」は、反復や転写による複数生産を可能にし、シルクスクリーン作品の原点となった。ウォーホルは広告で賞を受賞しており、成功の理由を垣間見れるセクションとなっている。
60年代にアーティストへの転身を図ったウォーホルは、新聞や広告などのマスメディアから切り取ったイメージをシルクスクリーンで大量に作品化する。三つ目のセクションでは、有名なキャンベル・スープを主題にした作品2点が飾られ、その違いを鑑賞できる。またウォーホル作品の代名詞とも呼べる「スターの肖像画」シリーズが多数展示されており、マリリン・モンローの作品は10点ある内の5点が展示され、その横には「2つのマリリン」という、今まで展示されることのなかった貴重な作品も掲げられている。
そして一転、ガラス張りで外光が降り注ぐ「銀の雲」と呼ばれるコーナーでは、気圧の関係で雲のように上下して動く、銀色のヘリウム入り風船が宙に浮かんでいる。日中は太陽光に反射した銀の雲を、夜はライトアップされた東京の街並みが投影された、きらきらと光る銀の雲が見られる。そこを抜けると、ウォーホルのニューヨークのスタジオ「シルバーファクトリー」が、ほぼ原寸大で再現された空間が現れる。この銀色装飾の考案者である写真家のビリーネームの実寸大フォトも壁に転写されている。
70年代に入ってからの二つのセクションでは、シルクスクリーンで制作された「注文肖像画」シリーズが並び、坂本龍一やキミコ・パワーズなど多くの作品が展示されており、有名人を撮影したカメラやポートレートなども見られる。ジャン=ミッシェル・バスキアとのコラボレーション作品「ドル記号、私を踏みつけるな」も展示。
実験映画とビデオのセクションでは、「画家廃業宣言」後に制作された、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルを夕暮れから深夜まで定点撮影した「エンパイア」や、「ファクトリー」の訪問者をそれぞれ約3分間ずつ撮影した「スクリーン・テスト」のシリーズが見られる。
そして第9セクション「タイムカプセル」では、74年からウォーホルが保管していた、雑誌や新聞の切り抜き、個人的なメモなどが段ボールに入って展示されており、中には時計や灰皿、タオルにサングラスなどの私物もある。また日本の浮世絵や雑誌なども見られ、興味深いセクションとなっている。実際に使用していた段ボールも展示。ウォーホルが70年開催の大阪万博アメリカ館で発表した、アート&テクノのインスタレーション「レインマシン」も、万博以来初めての展示をここで果たす。
また場内では、展覧会オリジナルグッズをそろえたショップも併設。ウォーホルの作品をモチーフとした、トートバッグ、クッション、マグカップや文具なども並び、トートバッグブランド「ルートート(ROOTOTE)」とのコラボレーションによる、オリジナルのトートバッグを作ることのできるワークショップも開催される。
【イベント情報】
森美術館10周年記念展「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」
場所:森美術館
住所:東京都港区六本木6ー10ー1 六本木ヒルズ森タワー53階
会期:2月1日から5月6日
開館時間:10:00から22:00(火曜のみ17:00まで)
入場料:一般1,500円、学生1,000円、こども(4歳から中学生まで)500円