東京・六本木にある21_21 DESIGN SIGHTは3月31日、従来の「ギャラリー1」「ギャラリー2」に続く新たな活動拠点となる「ギャラリー3」をオープンした。前日の30日には一般公開に先立ち、記者会見とレセプションが行われた。
デザインを通して様々なできごとやものごとについて考え、世界に向けて発信し、提案を行う場として2007年3月に開館した21_21 DESIGN SIGHT。第0回の「安藤忠雄2006年の現場 悪戦苦闘」や第1回の「チョコレート」から、「REALITY LAB-再生と創造」、「東北の底力、心と光。『衣』、三宅一生。」、「テマヒマ展東北の食と住」、「イメージメーカー展」、「建築家 フランク・ゲイリー展」、現在開催中の「アスリート展」など、これまで34の展覧会を開催し、来場者数は150万人を超えた。
「ギャラリー1」「ギャラリー2」に隣接する「ギャラリー3」は、21_21 DESIGN SIGHTの10周年を機に活動を更に発展させていくためにオープンしたもの。110平方メートル、天井高4.3メートル。広く一般に開放するほか、世界各国の企業やデザイン関係者を始め、教育・研究機関、各国の文化機関などと連携し、展示やイベント、ワークショップなど実験的なプログラムに取り組んでいく。4月にはオープニング企画として10周年の活動を踏まえながら、21_21 DESIGN SIGHTの今後を参加者とともに考えるトークイベントシリーズ「オープンカンバセーション」を開催する。
レセプションで三宅一生は「時代を経て評価されるデザインから見れば、たった10年。だが、不可能だと思っていたものが実現したのも2003年に寄稿した『造ろう デザインミュージアム』を記事にしてくれた朝日新聞など、周りにすばらしい人たちがいてくれたおかげ。一番大切なのは人の気持ちであり、野生の心だと思う」と挨拶。
「2、3年で閉館すると思っていた」と会場を笑わせた安藤忠雄は「これまで続いてきたのは、みんなの思いが繋がったから。これからもデザインや文化の拠点としてできることをやっていきたい」。東京ミッドタウンマネジメントの中村康浩社長は「これまでの10年間は期待を大きく上回るものだった。21_21 DESIGN SIGHTとともに東京ミッドタウンも経年劣化ではなく経年優化していきたい」と話した。
10周年を機に館長に就任した佐藤卓は「今思うとそれも一生さんの今までにないものを作る狙いだったと思うが、キュレーター経験者が一人もいない状況からスタートし、実験を続け、デザインの可能性を検証してきた。これからも、(イサムノグチ、田中一光、倉俣史朗など)大先輩の熱い思いを将来につなげ、これからもデザインとは何か、何ができるのかを問いかけ、今までなかったものを提案し、新たな道を切り開いていきたい」と語った。
また、あいさつ終了後にはダンサー・振付家の森山開次によるスペシャル・パフォーマンスも行われ、「ギャラリー3」の中と外を使い、縄文時代のパワーとアフリカのエネルギーが融合したようなパフォーマンスが披露された。