2月19日シモーネ・ロシャ(Simone Rocha)が2017-18年秋冬コレクションを発表した。
昨年ブリティッシュ・ウィメンズウェア・デザイナー賞を受賞し、今月ニューヨークに旗艦店をオープンさせたばかり。最も勢いのあるブランドは今季、現代社会に生きる女性の“怒り”を表現した。それは政治的混乱による全世代、全世界の女性に連鎖していく怒りだが、憎しみや悲壮感とは違う。
フリルや丸みを用いてロマンティックで少女的だった過去のコレクションに見られたアプローチはなく、ベルヴェットや毛皮といったリュクスな素材で作るミリタリーを強調した。
ファーストルックは「泥にまみれた戦場」を表現したという、深いブラウンのトレンチコート。厚いベルヴェットを贅沢に使った。襟やスリーブ、ウエストラインに曲線的なカットを入れて女性らしさも加味されている。色はカーキからブラック、グレー、ホワイトへと変化していく。総レースのコートや小ぶりな花の刺繍をあしらったアウター、フェイクファーの大きなベルト付きのコートなど、シモーネ・ロシャのロマンティシズムもしっかり感じられる。いくつものルックで見られた、まるで守るかのように小脇に抱えたフェイクファーのストールや、ビジュー付きのソックス×サンダルの足元によって、どこか子どもっぽいアティチュードが漂う。
刺繍やプリントでアクセントとなった赤色は、平和的な怒りを表現したという。厳格で力強い服の中で、まるで希望のように美しく咲き乱れていた。クリスタルの花のモチーフやフィナーレを飾った純白の総レースのジャケットとスカート。甘いルックも体に巻かれたクロスベルトが、一貫したミリタリー要素を示した。
コレクションもショーの演出も幅広い世代のモデルを起用した点も、あらゆる角度から女性らしさの概念を捉えたシモーネ・ロシャの思考が見事に表現されていた。固い意思を持った女性は厳格なまでに力強いが、それはマスキュリンな強さではなく、大切なものを守るための強さ。怒りを抱いても希望を失わず、必ず平和へと向かって前進している。現実は甘くないかもしれないが、戦いへと向かう全ての女性に美しい鎧が捧げられたことに、今は歓喜しよう。