銀座・六雁の料理長が惚れる豊かな味 暮らしや食文化に触れる能登の旅--3/3 ~銀座・六雁 秋山料理長のスペシャルディナー編~

2015.12.06

三越伊勢丹食品バイヤー×いしかわ農業総合支援機構(INATO)という、食のプロと能登を知り尽くした案内人が手を組み、美食家と共に巡る「里山里海食ツアー」。

ツアーに同行して体感した大らかな里山里海、そこから生まれる暮らしや食文化に触れた能登紀行“能登EATravel”第3弾。

国内外の料理人たちが注目する能登の食材。連日満席が続き、なかなか予約が取れない銀座の日料理店・六雁(むつかり)、その料理長・秋山能久さんも能登に惚れこんでいる一人だ。様々な食の産地を訪れている秋山さんは、能登のどんな点に魅力を感じるのだろうか?

「暖流と寒流がぶつかる日本海で獲れる魚介類、日本列島の真ん中にあることで農産物の北限、南限として多種多彩な野菜が育つこと。里海には珍しい海藻や伝統技法で手掛ける塩、里山には茸や山菜など、素晴らしい食材に出合えるところが魅力です」と秋山さん。

豊かな自然環境が育む食材はもちろん、能登の食や文化を受け継いで発信していく生産者にも魅了されている。「おいしいものを作ろう、新しい価値を届けよう!という情熱のある生産者の方が多い。そんな方々の想いがこめられた食材を、お客さまに喜んでもらえるひと皿へと“いのちのリレーを繋ぐ”のが僕の仕事です」

「里山里海食ツアー」に同行した秋山さんは、ツアー参加者のために能登食材でスペシャルディナー会を催した。古民家ギャラリー・舟あそびを舞台にした一夜限りのスペシャルディナーを一部ご紹介すると、バターナッツ南瓜の温かいスープ、季節の野菜の煮こごり、野菜のガルグイユ風とのど黒の酒蒸し、小木烏賊飯と能登牛丼、デザートは酒粕×塩マカロン、というツアーで巡った能登を味わいつくす献立となっている。

精進料理を極めている秋山さんは、今回のコースにも野菜をたっぷり使っている。それは能登島にある高農園で穫れた野菜だ。「六雁でも高農園の野菜は人気です。今回は、この野菜をふんだんに使ったお料理を提案しています。また谷川醸造の味噌や醤油、揚げ浜式の塩、数馬酒造の酒粕、能登ワインで炊いた香り高い烏賊飯など、趣向を凝らした里山里海ディナーに仕上げました」

趣向を凝らした料理が、蔦屋ギャラリーの輪島塗の碗や盆、舟あそびが提案するガラスや珠洲焼(すずやき)など美しい器で供される。そして、料理にあわせるのは数馬酒造の日本酒

そして秋山さんが率先して給仕をするという、スペシャル感も美食家を大いに沸かせた。「僕自身が、能登の食材で楽しみながら料理をして、それをお客さまが楽しみながら食べてくれる。記憶に残る料理や能登の味になれば嬉しいですね」

食材や工芸の産地を巡り、畑や工場で生産者と直に話をする。だからこそ強く心に残った、『能登の里山里海』の美しさや豊かさ。ほんの一部しか紹介できなかったが、まだまだ“おいしい”が詰まっている能登半島、“能登EATravel”に終わりはない。


取材協力/
六雁 http://www.mutsukari.com
ギャラリー舟あそび http://f-asobi.com/


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森有貴子
  • 能登に惚れ込んだ料理人の一人、六雁料理長・秋山能久さんによるスペシャルディナー
  • 銀座の日本料理店・六雁料理長の秋山能久さん
  • ツアー客に秋山料理長自らサーブする
  • ディナー会場となったのは、奥能登のギャラリー「舟あそび」
  • ディナー会場となったギャラリー舟あそび
  • ディナー会場となったギャラリー舟あそびには、季節の草花が飾られる
  • ギャラリー舟あそびの舟見有加さん
  • バナーナッツ南瓜のポタージュ
  • 能登の食材をふんだんに使った前菜
  • ツアー客に料理の味わいどころを語る秋山シェフ
  • 高農園のスティックカリフラワーを使った味噌汁
  • 揚げ浜式製法の塩と数馬酒造の酒粕を使ったマカロン
  • 高農園で野菜を見る秋山シェフ
  • 能登の暮らしや食を堪能する旅になった
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