「インターテキスタイル上海アパレル・ファブリックス-2014年秋」で注目のキーワードとなったのは、「エコ」「デニム」「デザイン」。
中でも、「サスティナビリティのすべて(All About Sustainability zone)」と題されたゾーンでは、アパレル界にもグローバル規模でサスティナビリティの波が到来しているのを予感させた。同ゾーンには、リサイクル再生素材や天然素材を用いた素材を展開するメーカーが出展した他、サスティナビリティに関するコンサルティング会社など35社が出展。サスティナビリティーに関する知識や業界動向などの情報を提供する「教育」ゾーンと、既製品を展示する「ecoBoutique」ゾーンも設けられた。
「メッセ・フランクフルトでは、“サスティナビリティ”に約6年前から注目している。昨年同展で行ったプレゼンテーションも好評だったので、今年は更にサスティナブルなビジネスモデルを追求すべく、規模を148%に拡大した。素材そのものだけでなく、その生産工程から最終製品に関する展示も行うことで、アパレル業界のすべての生産者に向けて提案しているのが特徴。技術向上に伴う品質の向上やコストの低下により、これからますます発展していく分野だと確信している」と同見本市を主催するメッセフランクフルトベルント・ミュラー氏。来年3月の春展でも同企画を実施予定という。
日本からは、蝶理が出展。染色工程におけるサスティナビリティへの取り組みや、セルロースを原料とするトリアセテートを混合した機能素材などを紹介。ecoBoutiqueでは、米国のユニファイ(Unifi)が、100%リサイクルポリエステル素材を使用したスポーツウエアを展示した他、サスティナブルファッションの普及を目指して2011年よりNGO団体「Redress」が開催しちている「EchoChic Design Awards」の受賞作品も並んだ。
スイスに本社を置くブルーサイン・テクノロジーズ(Blue Sign Technologies)は、商品の生産工程におけるサスティナビリティ施策の提案を行うコンサルティング会社。ブルーサイン認証という独自の基準もさまざまな企業で取り入れられている。同社のアジア担当者によると、アウトドア・スポーツメーカーは既に積極的な取り組みが見られるが、アパレル業界でも興味を持つ企業が増えているという。
会期中行われた、中国と東南アジアのアパレル市場に関する国際会議でも、各団体の代表より、中国のアパレル市場の成長鈍化が懸念される中、その突破口としてエコやオーガニックなどが注目されているという指摘が上がった。
また今回、中国で近年テキスタイルデザインへの需要が急増しているのを受け、デザインスタジオが集まる「ヴァーヴ・フォー・デザイン(Verve for Design)」ゾーンの規模も昨年より56%拡大した。イタリア、スペイン、イギリス、オーストラリアなどから21のデザインスタジオが参加した。
「中国のブランドがハイエンドでグローバルなブランドへと成長するためには強い個性を持ったクオリティーの高いデザインが必要。プリントと刺繍を組み合わせたアーティスティックなデザインや、欧米のトレンドに沿うようなデザインが人気」と話すのは、イギリスのデザインスタジオ「サークルライン(Circleline)」。他社に比べ高めの価格設定ながら初日からブースは盛況となった。なお、今後は日本市場への進出も目論んでいるという。
デニムについても、近年の需要の高まり設け、「ビヨンド・デニム(Beyond Denim)」スペースも25%拡大。フランスの「ネリーロディ・エージェンシー」がデザインした新ホールでは、最新のデニムデザインのトレンドや加工技術が紹介された。