オノ・ヨーコのGLOBE PEACE。世界を変えたカップルの祈り【冬に感じる恋とアート/表参道編】

2014.12.17

相手を知ることは、自分を知ること。
恋愛はいつも冒険に似ている。

にぎわう表参道の中心部にある、隠れ家のようなGALLERY 360°。階段を上がると、色とりどりの鉛筆とクレヨンと地球儀が私たちを待っていた。ここで開催されているオノ・ヨーコ展覧会「GLOBE PEACE」は、インスタレーションされた様々な地球儀に観覧客自身が色を使い描いていくインタラクティブアート

互いが出会うまでに経験してきた世界、見てきた世界、そして二人で経験した世界、考える未来の世界を語りながら、地球儀に色をつけ、線を描いてみる。

カナダアフリカに友人がいて、アルゼンチンに行ってみたい。ここは昔一つの大陸だったんだよ。どうやって大地は割れていったんだろう”

いつも身の回りのことばかりを口にしてしまう日常を離れ、時空を超えて地球丸ごとふたりで見つめて語り合えるなんて、ロマンチックだ。彼の見ている地球に耳を傾けながら、同じ場所で生き、今一緒にこの小さなギャラリーにいることの奇跡を急に感じる。

GALLERY 360°は、決して大きくはないが、82年のオープン以来、コンセプチュアル・アートやフルクサスなどの展示を続け、オノ・ヨーコの個展を96年に開いた。その後、横浜トリエンナーレが開催された2001年以来、ほぼ毎年12月にオノ・ヨーコの個展が開催されているという。

地球儀を使って互いの過去と未来を描いたあと、ギャラリーのテーブルの上に目を落とすと『COUPLE EVENT(※)』という作品集があった。

開くと、9週間の週末プログラムとしてカップルへのシンプルなミッションが書かれている。

世界一有名なカップル、ジョン・レノンとオノ・ヨーコにも、危機があった。70年代の反戦活動後、社会や様々な組織からの圧力、そして政治的な絶望に襲われ、一時、ヨーコがニューヨーク、ジョンがロサンゼルスと別居を選択した二人。

偉大なカップルのパートナーシップに入り込んできたのは、社会であり、時代だった。70年代当時、そんなカップルが沢山いたのだそう。

そんなとき、『COUPLE EVENT』はジョンとのコミュニケーションのため、ジョンとの関係性にまたチャレンジするために、アーティスト ヨーコが作ったアートワーク。相手の存在をまるごと受け止める、そんな覚悟の予感がするインタラクションだ。

命をかけて世界を変えようとしたカップルの願いは、世界一有名な日人女性ヨーコの願いとなって、このGLOBE PEACEにも受け継がれている。

ギャラリーを出るとイルミネーションがきらめく冬の表参道が私たちを待っていた。並木の無数の光の下を歩きながら、ジョンとヨーコが人生を捧げた愛と平和の世界と、ヨーコが今も戦い続ける意味をともに語り合おう。


【展覧会情報】
オノ・ヨーコ「GLOBE PEACE」
会場:GALLERY 360°
住所:東京都港区南青山5-1-27 2F
会期:12月9日から12月27日
時間:12:00から19:00
休館:日祝

※…『COUPLE EVENT』は、72年にアメリカ雑誌「Sundance Magazine」で掲載され、GALERY 360°の手によってその40年後に書籍化されたという、こことナディフでしか買えないものだ。
沙耶佳.O
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