米ニューヨーク・タイムズ社(NYT社)が2004年に発刊した通称『Tマガジン』(正式名はザ・ニューヨーク・タイムズ・スタイル・マガジン)の日本版『Tジャパン』が2015年3月25日に創刊する。まだ創刊していない雑誌なのにクロニクルとして括れるのか?という意見もあるだろうが、14年8月に胎動が始まった時点からその歴史は刻まれているという理由で、創刊に向けて準備中の内田秀美編集長にインタビューを試みた。
24年間携わった『シュプール』を離れ、新しい部署で仕事をしているとき、朝日新聞社との会合で同社が『New York Times』と長年提携している話題となった。内田編集長が『Tマガジン』の素晴らしさを語ると提携話に発展し、1年後には『Tジャパン』の発行が決まっていた。
発行、印刷、デリバリーを担う朝日新聞社と本の編集と一部発行を行う集英社というのが契約の概要だ。雑誌コンテンツは基本的には集英社が責任を持ち作成する。
創刊にあたって集英社が配信したリリースには、スタイルを文化として扱う『Tマガジン』のコンセプトについてデボラ・ニールドマン編集長は「私にとってファッションで最も興味深いのは、表面的な装飾のことではありません。ファッションの文化的な場面、背景にあるビジネス、またはそれを支えるクラフツマンシップなどです」、『Tジャパン』内田編集長は、「『Tジャパン』はすべての読者の知性に敬意を払います。知的で、愉快で、美しい、大人の雑誌です」と位置付けている。
刷り部数は20万部を予定。16万部が青山、麻布など首都圏の特定エリアに住む朝日新聞読者へ、そしてメディカル朝日(開業医向けの雑誌)の購読者2万人、集英社のECサイト「フラッグショップ」利用者の中でファッションの購買力がある2万人に配布。更に都内の高級ホテルなどにも置かれる。
ページ数は100から150ページを予定し、あまり厚い本にする気はないというが、広告の入り方でページ数は増える可能性は否めない。これは極端な例ではあるが2000年代初頭の米ヴォーグは、広告込みで通常250ページのところ9月号や3月号は550ページを超えた時期があった。最高は2004年9月号の832ページ。当時は日本でも『エル・ジャポン』や『ヴォーグ・ジャパン(当時はニッポン)』でも同じ現象が起こっていた。プチバブルの頃だ。
雑誌の厚さの理想は、トートバッグなどに入れて持ち運べる厚さと内田編集長は想定している。
6/11--『Tマガジン』の目指す方向に続く。