日本橋三越本店は7月16日より、畳、木、竹、和紙などを利用した伝統的な夏の過ごし方を提案するイベント「涼と出会う夏」を開催している。22日まで。
開催にあたってイベント担当者は、「日本橋三越本店が日本文化の発信拠点となれたらと思っている」とコメント。来場者に、日本各地の風土に育まれた素材や製法によって生み出された品々に触れてもらうことで、日々の生活の味わいを見つめ直してもらうことが狙いだ。
会場では、「風土から生まれた生活の知恵」並びに「手間暇をかけた職人の技」を五感で感じてもらうための五つのカテゴリーを紹介。
一つ目は、千葉県銚子市で四代続く「青柳畳店」制作の畳を体験できるスペースで、履物を脱いで足裏で畳を感じたり、畳を使った縁側に腰掛けて涼を堪能したりすることができる。さらに、畳表(=イグサの茎などと麻糸とで織ったござ)を使用して作成した寝ゴザや財布なども紹介。これらは、通常の畳のサイズに育ち切らなかった90cm以下のイグサや畳製作時の端材を活用して作られている。4代目店主の青柳健太郎氏は、「廃棄処分になっていたイグサも、通常のものと同じ愛情をかけて育てられたのだから、いい形でステージにあげてあげたかった」と話す。
二つ目は、金具を使わず、組木で作り上げる家具を製作し続けている東京の「コマ(KOMA)」による家具や小物のディスプレイ。職人の亀井敏裕氏が、「使うことで気分があがるような家具作りをモットーとしている」と語る通り、腰掛けることで心がほっと和むイスを始め、触覚で楽しめる良品ぞろいだ。男女がそれぞれ逆方向を向いて座り、キスするシーンを想定して製作された「Kiss Chair」など、見た目の美しさに加えてユーモアのセンスが光る品も多数お披露目されている。
三つ目は、味覚で涼を楽しむ「榮太樓」。創業150年余という日本橋の老舗が作るかき氷は、昔ながらのザクザク感にこだわり、日本の夏を彩る。かき氷の種類は、宇治、イチゴ、金時など計14種類で、価格は810円から918円。
四つ目は、視覚で涼を狙ったスペースで、日本橋で360年商売を営んでいる和紙の老舗「小津和紙」の美しい和紙の数々を楽しめる。今回の展示では、古来より、ふすまや障子など生活に密着したかたちで使われてきた和紙の中から、見た目の涼しさが際立つ「落水紙」(レース状の和紙)をバリエーション豊富に紹介する。
最後は、会場上空から降ってくる涼しげな音。富山県高岡市の鋳物メーカー「能作」と、東京都中央区の「中越パルプ工業」がタッグを組んで製作した作品で、竹紙製の短冊とともに100個の風鈴が吊るされている。
会場となる本館1階中央ホールでは、連日、日替わりのワークショップも催される。16日から18日は小津和紙による和紙染め(500円)、20・21日は、青柳畳店による、「藺草(いぐさ)を使用したコースター製作」(1,000円)、KOMAによる「落ち葉差しサンドペーパーフィニッシング」(1,000円)など。また、中越パルプ工業の「バンビューン(竹トンボ)製作キット」「竹紙ハガキ」の配布も行われる(どちらも無料。無くなり次第終了)