「ロエベ(LOEWE)」は7月17日、新ストアコンセプト“CASA LOEWE”を取り入れた世界初のショップ「カサ ロエベ 表参道(CASA LOEWE Omotesando)」(東京都港区北青山3-5-29 ONE表参道)をグランドオープンした。
このコンセプトは建築家ハビエル・カルバハルが手掛けた1960年頃のロエベショップにインスパイアされたもの。新クリエーティブディレクター、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は当時のテイストを好んでおり、今店では個人宅のような空間を創出。過去・現在・未来をクリエーションのポリシーに据えるアンダーソンらしいショップとなった。
ファサードは内・外の仕切りを無くすかのように開口を大きく取り、表参道という地になじむことを企図。ウインドーディスプレイを廃し、むしろ店内空間がディスプレイのような役割を果たす。上部から突き出す庇はカルバハルが設計したスペイン・マドリードの「ロエベ セラーノ店」(1959年)へのオマージュだ。当時のエメラルドグリーンの庇をメノウで再現。シックなブロンズの梁と黒大理石の外装も踏襲している。外から眺めたときに一際アイキャッチとなるのが2階に下がる大きな三つのガラスペンダント。夜にはぼうっと柔らかい光を外界へと投げ掛ける。脇に掛かる1階床までつながるリネンカーテンと共に陰翳を織りなし、一層の温かみを生む。
店内は地下1階・地上2階の3フロア構成。各階に先日発表された15SSメンズコレクションのウエアやプレローンチ カプセルコレクションのバッグが並ぶ。随所に新たなクリエーティブディレクションのもと新生ロエベのカルチャーを反映する要素を盛り込んだ。宙に浮いたような石の階段やラフィアやセラミックのディスプレイが付いた大型木製テーブル、ウィリアム・モリス(William Morris)がデザインしたイスなどイギリスのアーツ・アンド・クラフツ時代のアンティーク家具を設えた。
これらが作り出すシックな空間に、意外性のある和の要素が採り入れられている。オープンを記念して、20世紀を代表する日本人陶芸家の1人であり、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチ(Bernald Leach)と共に作陶活動を行った、初代濱田庄司から3代にわたり名匠を擁する濱田窯(栃木県・益子)の陶器作品をディスプレイ。1階階段室壁面には彼らの作品が展示され、中央には、3代目友緒がロエベに着想を得て特別に制作した作品2点「タイ(TIE)」と「キューブ(CUBE)」が並ぶ。
TIEのテーマは「動」。絆を表現した。生まれ変わったロエベのアナグラムの曲線や革の柔らかさ、ブランドのエレメントの一つであるノットにつながる意匠だ。CUBEのテーマは「静」。アイコンバッグ・アマソナに着想を得たもの。益子の石を砕いて作る赤茶色の釉薬「柿釉(かきゆう)」を塗り、上に鮮やかな赤絵を施している。これら2点は同店にて受注販売している。
7月16日にはオープニングパーティーが催され、モデルプレゼンテーションが行われた。また、道端ジェシカや森泉、ヨンアなどの有名人が姿を見せた。