トム ブラウン(THOM BROWNE)は、パリのボ・ザール(国立高等美術学校)ホールで2018年春夏メンズコレクションを発表した。
ランウェイには三つのショーケースに飾られ、それぞれにベビーの靴、男性用の靴、そしてヒールの付いた靴が並べられている。1992年のサリー・ポッター監督映画『オルランド(ヴァージニア・ウルフの小説が原作)』のサウンドトラックに乗って登場したのは、スカートを穿き、ヒールの付いたパンプスを履いているジャケット着用のモデル達。『オルランド』は輪廻転生しながら男性と女性に生まれ変わっていく主人公、オルランドを描いたもので、コレクションのモデル達のイメージと見事に重なっていく。
シャツドレス、シンプルなノースリーブドレス、プリーツスカート、肌にピッタリしたダブルブレストのジャケットタイプのノースリーブドレス、ラップスカート。女性のモードであるこれらのアイテムを、デザイナーのトム・ブラウンは敢えて男性モデルに着せ、ヒールの付いたパンプスで歩かせた。それは時おりぎこちなさを見せ、違和感の連続でもあったが、最後に前面がタキシードで背面がウェディングドレスになっているアイテムを着用したモデルが登場し、前日に開催されたゲイプライドの興奮冷め止まぬ中、会場は拍手喝采となったのだった。