テキスタイルと優れた機能性が代表するフィンランドのファッションデザイン。その一方で、時には挑戦的にコンテンポラリーなデザインを追求する若手デザイナーもいます。
今年5月にヘルシンキ市内で開催されたヘルシンキファッションウィーク期間中に、インスタレーションという形で新プロジェクト、トリプルエスユー(SSSU)を発表したフィンランド出身のデザイナー、サス・カウッピさん。慎重派で控えめな国柄の土地で、エッジーでスポンテニアスな世界を追求する彼のアトリエを訪ねました。
カウッピさんはヘルシンキの大学でファッションを学んだ後、イギリス・ロンドンの名門美術大学、セントラル・セント・マーチンズでメンズウェアの文修士号コースを専攻。2011年に発表したハイエンドなスポーツウェアがテーマの卒業コレクションで注目を集めます。卒業後、サス・カウッピ(SASU KAUPPI)の名前でブランドを立ち上げ、約10コレクションを発表。日本を含めた世界中のセレクトショップで、アイテムがストックされていました。ただ、コレクションの制作を重ねる度に、そのスピード感に疲れを感じるようにもなったと話します。そして創設から5年が経過したことを機に、一旦ブランドを休止する決断。
インスタレーションの翌日、インタビューに応じてくれたサス・カウッピさん
「1年に多くて4回、少なくても2回のコレクションを展開するっていうのに疲れを感じてしまって、一旦すべてを休止することにしました。その後、アメリカ・ロサンゼルスに一時拠点を移して、カニエ・ウエスト氏が手掛けるアディダスとのコラボレーションブランド、イージー・ブースト(YEEZY BOOST)に携わりました。僕自身のプロジェクトとなるトリプルエスユー(SSSU)を立ち上げたのは、アメリカから帰国した2016年のこと。サス・カウッピの時とは違って、オーディエンスのリアクションを見ながら、とりあえずやってみようというラフなスタンスで始めたんです。だからブランドとは言わずに、あえてプロジェクトと呼んでいるんですよ」
いくつか女性用にデザインしたアイテムもあるそうですが、展開されるデザインはユニセックスが基本。カウッピさんはそのデザインを男性のための男性服であり、女性のための男性服と表現します。
「女性が男性服をかっこよく着こなす様が、とてもクールだなといつも思っていたんです。だから僕が女性向けに意識してデザインするよりも、着る側が自由に楽しんでくれればいいなと思って。ブランドの名前もSSSUと書いてトリプルエスユーと呼んではいるけど、なんとでも好きなように呼んでくれればいいんですよ(笑)。デザインのディテールは、スポーツウェアからヒントを得ているものも多いですね。スポーツウェアは何よりもまず、着心地の良さを考えて作られている。僕がプロジェクトのテーマにしている“未完成でちょっと癖のあるスポンテニアスなルック”も、そういったスポーツウェアの機能性を反映させたものにしたいと考えています」
トリプルエスユーのロゴ。カウッピさんのアトリエにて
ウェアラブルかつシーズンを持たない分、トリプルエスユーをある意味ではよりコマーシャルなファッション表現であると言うカウッピさん。インスタレーションで発表した初となるコレクションは、より理想に近い形のものができたそう。
「オーディエンスからの反響は上々です。ソーシャルメディアの力も功を奏していると思いますね。今回起用したモデル達は、インスタグラムなどのSNSでアシスタントが見つけて声を掛けた子がほとんどなんですよ。中にはラッパーや俳優もいました。彼らの自前のアクセサリーをスタイリングに取り入れたり、靴の履きこなしも自由にやってもらったり。これまでの仕事のように、エージェンシーからモデルを借りることに飽きていた。だから人物のパーソナルな魅力を立てて、リアルに服を着てもらえたら面白いかなと思ったんですよ」
プロダクションは今年中を目処に、まずはベーシックなTシャツやキャップなどから展開を開始する予定だそう。彼の表現がフィンランドのシーンにどのような変化をもたらすのか注目です。
>>【連載】Fashion in Finland を見る
今年5月にヘルシンキ市内で開催されたヘルシンキファッションウィーク期間中に、インスタレーションという形で新プロジェクト、トリプルエスユー(SSSU)を発表したフィンランド出身のデザイナー、サス・カウッピさん。慎重派で控えめな国柄の土地で、エッジーでスポンテニアスな世界を追求する彼のアトリエを訪ねました。
カウッピさんはヘルシンキの大学でファッションを学んだ後、イギリス・ロンドンの名門美術大学、セントラル・セント・マーチンズでメンズウェアの文修士号コースを専攻。2011年に発表したハイエンドなスポーツウェアがテーマの卒業コレクションで注目を集めます。卒業後、サス・カウッピ(SASU KAUPPI)の名前でブランドを立ち上げ、約10コレクションを発表。日本を含めた世界中のセレクトショップで、アイテムがストックされていました。ただ、コレクションの制作を重ねる度に、そのスピード感に疲れを感じるようにもなったと話します。そして創設から5年が経過したことを機に、一旦ブランドを休止する決断。
インスタレーションの翌日、インタビューに応じてくれたサス・カウッピさん
「1年に多くて4回、少なくても2回のコレクションを展開するっていうのに疲れを感じてしまって、一旦すべてを休止することにしました。その後、アメリカ・ロサンゼルスに一時拠点を移して、カニエ・ウエスト氏が手掛けるアディダスとのコラボレーションブランド、イージー・ブースト(YEEZY BOOST)に携わりました。僕自身のプロジェクトとなるトリプルエスユー(SSSU)を立ち上げたのは、アメリカから帰国した2016年のこと。サス・カウッピの時とは違って、オーディエンスのリアクションを見ながら、とりあえずやってみようというラフなスタンスで始めたんです。だからブランドとは言わずに、あえてプロジェクトと呼んでいるんですよ」
いくつか女性用にデザインしたアイテムもあるそうですが、展開されるデザインはユニセックスが基本。カウッピさんはそのデザインを男性のための男性服であり、女性のための男性服と表現します。
「女性が男性服をかっこよく着こなす様が、とてもクールだなといつも思っていたんです。だから僕が女性向けに意識してデザインするよりも、着る側が自由に楽しんでくれればいいなと思って。ブランドの名前もSSSUと書いてトリプルエスユーと呼んではいるけど、なんとでも好きなように呼んでくれればいいんですよ(笑)。デザインのディテールは、スポーツウェアからヒントを得ているものも多いですね。スポーツウェアは何よりもまず、着心地の良さを考えて作られている。僕がプロジェクトのテーマにしている“未完成でちょっと癖のあるスポンテニアスなルック”も、そういったスポーツウェアの機能性を反映させたものにしたいと考えています」
トリプルエスユーのロゴ。カウッピさんのアトリエにて
ウェアラブルかつシーズンを持たない分、トリプルエスユーをある意味ではよりコマーシャルなファッション表現であると言うカウッピさん。インスタレーションで発表した初となるコレクションは、より理想に近い形のものができたそう。
「オーディエンスからの反響は上々です。ソーシャルメディアの力も功を奏していると思いますね。今回起用したモデル達は、インスタグラムなどのSNSでアシスタントが見つけて声を掛けた子がほとんどなんですよ。中にはラッパーや俳優もいました。彼らの自前のアクセサリーをスタイリングに取り入れたり、靴の履きこなしも自由にやってもらったり。これまでの仕事のように、エージェンシーからモデルを借りることに飽きていた。だから人物のパーソナルな魅力を立てて、リアルに服を着てもらえたら面白いかなと思ったんですよ」
プロダクションは今年中を目処に、まずはベーシックなTシャツやキャップなどから展開を開始する予定だそう。彼の表現がフィンランドのシーンにどのような変化をもたらすのか注目です。
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