東レと韓国のToray Advanced Materials Korea Inc.(TAK)は20日、中国における高機能ポリプロピレン長繊維不織布(PPスパンボンド)の生産設備を増設すると発表した。
PPスパンボンドは親水性、防水性、抗紫外線性などを特徴とする不織布で、主に紙おむつや衛生用品、手術用ガウンなどに使われている。中国でPPスパンボンドの生産を行っているのは、東レとTAKが共同出資する事業子会社の東麗高新聚化(南通)有限公司(TPN)。増設設備の稼働開始は2014年12月の予定で、稼働後の生産能力は年間約7万8000トンになる。
両社がPPスパンボンドの生産設備増強に乗り出した背景には、中国における乳幼児用おむつ市場の急激な伸びがある。2012年の需要は年間約140億枚だが、2020年には年間約380億枚へ拡大すると予測されているのだ。中国では既に大手衛材メーカーの生産設備増強や中堅メーカーの進出が相次いでおり、紙おむつ素材を巡る熾烈な素材開発やコスト競争が繰り広げられているという。
また、今回のPPスパンボンド設備増設は、東レが取り組んでいる「アジア・新興国事業拡大(AE)プロジェクト」の一環でもある。中国・インド・ASEAN諸国を中心に、アジア全体の乳幼児用おむつ市場は、2012年の年間約290億枚から2020年の年間約650億枚へと大幅成長する見込み。それに伴い、アジアのPPスパンボンド需要も2012年の年間約29万トンから2020年には年間約75万トンヘと拡大すると予測されている。
現在、東レグループのPPスパンボンド生産拠点は韓国、中国、インドネシアの3ヵ所。今後は各国の高度化ニーズに対応した商品を販売することで、アジア市場での事業拡大を図っていく。