アジアのファッショントレンドを発信する展示会「センターステージ(CENTRESTAGE)」が、9月4日から7日までの4日間、香港会議展覧センター(香港コンベンション&エキシビションセンター)にて行われた。
4回目を迎えたセンターステージでは、23ヶ国・地域から約240ものファッションブランドが集結し、香港を拠点にアジアのファッションハブとして、各国のバイヤーから注目を集めている。さらに、会場外でもインスタレーションが実施され、街をあげてのファッションプロモーション期間となった。
「CENTERSTAGE ELITES」
センターステージの初日を飾ったオープニングガラショー「センターステージ エリート(CENTERSTAGE ELITES)」では、香港出身のデザイナーアナイス・マック(Anais Mak)が手掛ける「アナイス ジョーダン(Anaïs Jourden)」と、パリ出身のジョセフ・アルチュザラ(Joseph Altuzarra)が手掛ける「アルチュザラ(ALTUZARRA)」によるコレクションが披露された。
Anaïs Jourden
ランウエイにランダムに設置された巨大モニターには、デザイナーのアナイスを始めとする香港の女性たちの映像が映し出され、ショーがスタートした。
アナイスが得意とする多様なレースと、歩くたびに揺れるシアーなフリルが女性らしさとセンシュアルなシルエットを生み出す。また、レースの裾から覗くパイソン柄のサイハイブーツが目を引いた。光沢のあるマテリアルに毛足の長いファーを施したアイコニックなダウンジャケットKIRA CONFETTI PUFFERなども披露された。
ALTUZARRA
ALTUZARRAは、2020年プレスプリングのコレクションを発表。フォークロアのムード漂う、バイアス仕立てになったAラインのドレスやカフタン、フリンジをあしらったのスエードのジャケットなどが登場した。
中盤からは大きなストーンでウエストマークされたドレスやテーラードのセットアップなども披露され、洗練された女性を象徴するようなコレクションピースに仕上げられた。
アップカミングな香港ブランド
センターステージでは、数多くの香港ブランドがブースでの展示とショーを実施した。アーティスティック・パレス(Artistic Palace)、ワンワントゥー・マウンテン・ヤム(112mountainyam)、アルト(ARTO.)、デモ(DEMO.)、ドリスケース(DORISKATH)、フェイクファン(FAKE FAN)、ハリソン・ウォン(HARRISON WONG)、ケナックスリョン(KENAXLEUNG)、メソドロジー(METHODOLOGY)、タック・エル(TAK L.)、ワイディーエムエイチ(YDMH)など気鋭デザイナーが名を連ねた。
昨年も参加をしバイヤーからの注目も高い「ワンワントゥー・マウンテン・ヤム」は、鮮やかな原色のカラーパレットで描かれた、動物のシルエットや迷彩モチーフがメインとなった2019年の秋冬コレクションを発表した。
ニットで構成されたブランド「ARTO.」は、立体的でアシンメトリーなパターンとキャンバスに描いたようなカラーリングが印象的だった。デザイナーによるペインティングでアート作品を身に纏うような、ファッションの楽しさを改めて感じることのできるコレクションピースに仕上げられている。
マスキュリンな空気の中に女性らしさが漂う「CHARLOTTE NG STUDIO」は、働く女性をイメージしたシチュエーションでショーを披露した。ワークウエアを想起させるような大きめのポケットに、大胆なカッティングで様々な表情を見せ、構築的なシルエットをデザインに落とし込んでいる。
なお会期中、デザイナーやバイヤーに向けたセミナーも多数開催された。Meet the Visionaries Seriesでは、「アナイス ジョーダン」デザイナーのアナイス・マック(左)と、「アルチュザラ」デザイナーのジョセフ・アルチュザラ(右)が登壇し、これからの若手デザイナーに向けてメッセージを送った。また、別の会では香港ヤング・ファッション・デザイナーズ・コンテンスト(YDC)のVIP審査員として招かれたミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)のデザイナー三原 康裕も香港理工大学繊維学研究所バシアシュツニッカ教授と対談をし、大きな価値を生み出すブランド間のクロスオーバーについて議論した。
コレクションショーに留まらず、来場したデザイナーやバイヤーに貴重な体験を提供するセンターステージ。ファッションと真摯に向き合うことのできる貴重な4日間となった。
>>香港の若手デザイナーの登竜門「ヤング・ファッション・デザイナーズ・コンテンスト(YDC)」開催。2019年の受賞者を発表